まごうことなき大傑作。
みんな映画館に行こう!
画質:IX
音質:XIII
(評価の詳細についてはこの記事を参照)
映像:HEVC 撮影解像度情報なし(Arri Alexa XTの撮影解像度は3.4K)・4Kマスター
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:中 オブジェクト効果:小
○画質
4K/HDR環境化でUHD BDの画質評価を書くのはこれが初めてなので少々緊張している。
さて……
フェニックスフォースもオプティックブラストも登場しない本作の映像はむしろドラマ基調であり、西部劇的な感触に満ちている。
漲る、迸る、焼け付く、血と汗と情念が滲み出す様が、暗いシーンで甘くなるという点を除けば、全編通じて拝める。で、この「暗いシーンで甘くなる」というのが厄介で、UHD BDでは画質の上限が大きく伸びた結果だろうか、画質の振れ幅も非常に大きくなった感がある。
良い(光量の豊富な)シーン、例えば強烈な日差しの照り付ける荒野の景観や木漏れ日の差し込む森の情景などはまさに「4K/HDRの精華ここにあり!」と快哉を叫びたくなるような画である。クローズアップが見せる登場人物の迫真の表情――チャールズやローガンの年輪! や衣装のディテールなど、高解像度化による情報量の増大は随所で恩恵をもたらしている。
一方で、暗いシーンになると、もちろんノイズが出ているとか階調がばっさり抜け落ちているといった露骨な問題はなく、普通に見られる画ではあるにせよ、良いシーンに比べると解像感も情報量も著しく減退する。
もっとも、UHD BDにおけるこの「落差」は本作に限らず、程度の差はあれ今まで見てきたすべてのUHD BDタイトルに存在しているので、やはりUHD BDになって画質の上限が大きく伸びた結果、BD以上に画質差が目に見えるようになったのだろう。BDでは器の限界から表出し得なかった画質差がUHD BDでは浮き彫りになったのだと考えれば、それはそれで興味深い。
いずれにせよ、明らかにBDとは隔絶した画を見せてくれる、高い金を出すに値するUHD BDタイトルである。
○見どころ
ジェームズ・ハウレット
ウルヴァリン
ローガン
○音質
Dolby Atmos収録。
じいさんが暴走した時の全方位ぐわんぐわん、妙に存在感のある鉄骨の軋み音、たまに頭上を掠めていく銃声など、それなりにトップスピーカーの活用はされている。しかし、基本的に本作の映像は縦の空間性や緻密な移動感が意識・要請されるようなものではなく、別にオブジェクトだからどうこうという印象はない。
本作はある意味X-MENフランチャイズ史上最も重火器が活躍する(というより強い)作品であり、音響もそれに恥じない重厚さと強靭さを兼ね備えたものとなっている。オブジェクト感はなくとも、点と線から成る全方位のマルチチャンネル・サラウンドは素晴らしい興奮を提供する。
神経質さと荒々しさと哀切が同居する劇伴は時に猛々しく鳴り渡る。その中でも登場人物の声は埋もれることなく、微細なニュアンスまで漏らすことなく聴かせる。
そして何より、爪。鋭さ、重さ、痛さ、すべてにおいて過去最高である。本作の音響の主役は間違いなく爪。本作のアダマンチウムは、ヌルい音響システムで聴くにはあまりにももったいない。
○聴きどころ
ウェポンX
X-23
X-24
○総評
BDの初期、『X-MEN 3』がそれなりに高画質なタイトルとして扱われていたことを思い出す。それからもう10年も経ったのか。ローガンも老けたが私も老けた。
17年間フランチャイズと付き合ってきたのなら、最高の環境を用意してクライマックスを迎えるべし。
ずっと待ち望んでいた、ウルヴァリンの真の姿を目の当たりにする。
Farewell, Logan.
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
Panasonic DMP-UB90
・映像
LG OLED55B6P
・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
Nmode X-PM7(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)
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