*

【AV史に残るBD勝手に10選】第7位『グラディエーター』 ― BD化における落胆と救済

BDグラディエーター
左が最初のリリース。右が後にリリースされたドイツ盤。


【BDレビュー】第184回『グラディエーター』 国内盤&独盤


 “BDは高画質”という言葉。
 誰しもがそう思うだろう。
 私もそう思いたい。
 しかし、現実は必ずしもそうではない。
 縁もゆかりも興味もない作品がやっつけ仕事の手抜き仕様でBD化されても別に知ったことではないが、自分の愛する作品がそんな目に遭ってしまったら、その悲しみたるや筆舌に尽くしがたい。
 今回紹介する『グラディエーター』は、残念ながらその例だった。

 映像的にも音響的にも素晴らしい作品である『グラディエーター』は、特にBD化が嘱望されていたタイトルだった。BD化が発表された時、喜んだ人もさぞかし多かろう。
 ところが、実際にリリースされたBDを目にした時、私を含め、多くのユーザーが愕然とした。

「え、なにこれは……」

 酷い画だった。
 BDに収録されていた映像は、『グラディエーター』という作品に期待される画質を遥かに下回るどころか、不自然な輪郭強調や白飛びなど、そもそも“映像圧縮として破綻”していたのである。
 このふざけたBD化に対し、世界中で良識あるAVファンの怒りが爆発した。日本はだんまりだったが。その根底には、純粋に愛する作品をより高いクオリティで鑑賞したいという欲求はもちろん、「これを許してしまえば、再びこのようなふざけたBD化が繰り返されてしまう」という危機感もあったはずだ。『グラディエーター』という作品の知名度や影響力を考えれば、このふざけたBDに対する怒りは至極当然だったと言える。
 多くの場合、映画作品は一度BD化されてしまえば、よほどの人気作でもない限り、お色直しされて再BD化されるようなことはない。もしかしたら、『グラディエーター』のBDは未来永劫、この糞画質BDで打ち止めになってしまうという恐怖があった。

 やがてユーザーの願いは実を結び、海外では見事再BD化が果たされた。
 風の噂に聞いたところによれば、旧版を持っているユーザーに対して無償交換までしたとかなんとか。日本ではまったくそんな話は聞かないが。
 気になるのは新旧でどれだけの画質差があるかということだろう。
 百聞は一見に如かず、Blu-ray.comに掲載されている画像を見てもらいたい。





 “BDは高画質”という言葉は当てにならない。
 BDはあくまで器に過ぎない。最終的に画質を左右するのは製作側の“情熱”である。どれだけ優れた素材があろうが、手を抜けばこのザマなのである。

 再BD化されたことで、『グラディエーター』はようやく、本来期待されていたレベルの画質を実現することができた。かつて怒り狂ったユーザーも私を含め、この出来なら満足したはずだ。

 『グラディエーター』はふざけたBD化によって“BDは高画質”という幻想を打ち砕くと同時に、後に再BD化されるという形で、“BDのクオリティを決めるのは製作側の情熱である”ということも示した。『ロード・オブ・ザリング』や『プレデター』など、似たような例は他にもあるが、話題性や“落胆→救済”の振れ幅の大きさから、それらの代表として『グラディエーター』を選出した。
 この選出は“いい意味”と“悪い意味”の両方の意味を持っている。出来のいいソフトをひたすら羅列するばかりではなく、このようなソフトも存在したということを示すことも、BDの歴史を考えるうえでは非常に重要である。

 そして、この場を借りて、すべてのソフト会社に言いたい。
 「最初から本気を出せ」と。
 もちろん、技術の進歩やノウハウの蓄積によって、以前では成し得なかったクオリティを実現できるようになっての再BD化ならば大いに歓迎する。
 しかし、単なる手抜きや、やっつけ仕事によるBD化は、決して許されるものではない。
 それはユーザーを馬鹿にしているだけではなく、何より作品に対する冒涜に他ならないからだ。



BDレビュー総まとめ

スポンサーリンク


関連記事

【ハイレゾ音源備忘録】鷺巣詩郎 / ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 オリジナルサウンドトラック

・アーティスト / アルバムタイトル 鷺巣詩郎 / ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 オリジナルサウン

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】上原ひろみ / Move

・アーティスト / アルバムタイトル Hiromi / Move ・購入元 HDtrack

記事を読む

“がっかり”BD10選

 善いものがあれば、悪いものもある。  目を逸らすわけにはいかない。  なお、この記事の各項

記事を読む

アニソンオーディオ Vol.2

 とりあえず、 ・ギャルゲ ・エロゲ ・アイドル声優  方向性はこの三本柱で

記事を読む

激突! DELA N1Z vs LUMIN L1

 サーバー同士の音質対決。  一昔前には思いもよらなかった展開だ。  が、サーバーで音が

記事を読む

2015年の心残りその2 Cocktail Audio X40 Music Serverはどうなった?

【TIAS】トライオード、自社新製品に加えてCocktail Audioなど新規取り扱い予定ブランド

記事を読む

【UHD BDレビュー】第9回『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』 北米盤 【Dolby Atmos】

 何から何までマクロスじゃねーか。 画質:9 (画質はHD環境・BDと同じ土俵での

記事を読む

Nmode X-PW1導入

 どれだけ新しいサラウンドフォーマットが現れようが、“アンプでスピーカーを鳴らす”という基本は変わら

記事を読む

【UHD BDレビュー】第15回『レヴェナント: 蘇えりし者』 北米盤

画質:15☆ (画質はHD環境・BDと同じ土俵での暫定評価) 音質:10 (評価の詳

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第56回『アイ、ロボット』

画質:15 音質:12 映像はAVCでビットレートは20台から40台まで動的に変化。 音声は

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

【おしらせ】OTOTEN 2017に参加します

 久々だと思っていたら三週続けてのイベント参加です。 O

【おしらせ】春のヘッドホン祭2017 / 第2回北陸オーディオショウの「デジ研」に参加します

 久々のイベント参加になります。 春のヘッドホン祭201

【レビュー】Nmode X-DP10 音質編

外観編 設定(主にJPLAY)・運用編 ・再生環境

Roon 1.3 (Build 216)、PCM 768kHz・DSD512

Roon 1.3 (Build 216) Is Live! - Roo

【レビュー】Nmode X-DP10 設定(主にJPLAY)・運用編

Nmode X-DP10 外観編  ドライバをインストールし

【レビュー】Nmode X-DP10 外観編

Nmode X-DP10 続・Nmode- X-DP10

【祝】『マインド・ゲーム』BD化!

『マインド・ゲーム』Blu-rayプロジェクト - STUDIO4℃F

【菅江真澄紀行文】試作品が出来上がりました

クラウドファンディングサービス「FAN AKITA」でプロジェクトを実

【BDレビュー】第342回『マックス・ペイン』

画質:9 音質:12 (評価の詳細についてはこの記事を参照)

Asset UPnP Release 6

サーバーソフトの紹介 『Asset UPnP』 Asset UP

続・Nmode X-DP10

新製品発売のお知らせ - Nmodeの部屋 発売日は2017年4

LUMIN A1、導入3周年 終わらない進化とMQA対応

 LUMIN Appはバージョン3から相変わらず最強だし、  iPh

【UHD BDレビュー】第18回『シン・ゴジラ』

【考察】シン・ゴジラとヤマタノオロチ、そして現代のスサノオ神話

PS3の出荷(近日)完了に寄せて

PS3本体の出荷が近日終了 - GameSpark  私のP

【Roon Ready】CHORD Poly

 CHORD Mojoに接続して使う、Roon Readyの「ポータブ

【UHD BDレビュー】第17回『オペラ座の怪人』

『オペラ座の怪人』のUHD BD 画質:9 (画質は

LUMIN is NOW Roon Ready! そしてMQAとSpotifyにも対応予定

LUMIN STREAMING SERVICES  ほんとに

【レビューまとめ】fidata HFAS1-XS20 ― 専用機であるということ

外観編 音質・サーバー編 音質・ミュージックサーバー編

【レビュー】fidata HFAS1-XS20 × OPPO Sonica DAC 音質・ミュージックサーバー編

外観編 音質・サーバー編 fidataのCDトランスポート

【Roon Ready】dCSのNetwork Bridge

dCS、RoonReady対応のネットワークトランスポート「Netwo

→もっと見る

PAGE TOP ↑