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【ホームシアターでゲームをしよう!】第2回『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』






 携帯機でのナンバリングに興味はなかった。

 オンラインにも興味はなかった。

 というわけで、Ⅷから実に13年近く。
 時代は変わり、環境も変わった。

 待ちに待ったドラクエを、凝りに凝った環境で遊べるという、この喜びたるや!


 そして、【ホームシアターでゲームをしよう!】を再始動させたものこそ、このドラクエⅪに他ならない。



・プレゼンテーション


 
 PS2からいきなりPS4でのナンバリングタイトルということで、昨今の和ゲー事情もあり、ちょっと映像面の完成度を心配していたのだが、幸いにしてそれは杞憂だった。
 キャラクターにモンスターに背景にエフェクト、すべての要素が最新世代に恥じないクオリティで作り込まれている。

 キャラクターのモデリングや表情を含めたアニメーションはじゅうぶんに高品質であり、特にケチをつけるところはない。
 ごく一部を除いて本作のカットシーンは基本的にリアルタイムであり、キャラクターの装備がそのまま反映される。なので、そうと知らずにセーニャにおどりこの服を着せたらなんとも言えない絵面になった。

 また、キャラクター以上にモンスターのアニメーションの豊かさに感心した。
 かつてドット絵で戦った数多のモンスターたちが3Dになって、「へぇ、こいつはこんな動きをするのか……!」という感動。

 技術的な問題点といえばテクスチャの貼り遅れがたまに目に付くくらいで、フレームレートは非常に安定しており、その他に気になるようなものはなかった。多数のキャラクターやモンスターが入り乱れるようなカットシーンでも安定しており、ドラクエの世界観をここまでの映像密度で、リアルタイムの3Dでぐりぐり動かせるようになったのかと感動してしまった。

 さすがに『アンチャーテッド4』とか『Horizon Zero Dawn』とか、その手のタイトルと比べてしまうとアレだが、「技術的な問題を感じることなく世界に浸れる」という意味で、本作のプレゼンテーションは素晴らしい。


・サウンド

 本作のサウンドの肝はずばりすぎやまこういち氏による音楽である。
 それに尽きる。
 メインテーマのファンファーレが鳴った途端に総毛立つように、そんな風に魂が出来上がってしまっているのである。

 特に、中盤になってフィールドの音楽が(以下自粛
 そしてラスボス戦で○○○○○○を使った後の(以下自粛
 それらの決定的な瞬間に、最高潮に血を沸かせ肉を踊らせるように、ドラクエ11をホームシアターで遊ぶうえでは何よりもまずステレオ2chのシステムを強化すべきだ。

 戦闘やカットシーンはほぼステレオ主体の音響となっており、サラウンドチャンネルはたいして活躍しない。
 とはいえ、フィールドでの音はしっかりとサラウンドしている。
 カメラを動かせば、滝の落ちる音、川の流れる音、スライムの跳ねる音など、主人公を取り巻く音もしっかりとマルチチャンネル・サラウンドに応じて移動する。
 FPSやTPSといったジャンルとは異なり、サラウンド音響が直接的にゲームプレイに影響するようなものではないにしても、「世界」をより濃密に感じるために、サラウンド環境があるに越したことはない。


・ゲームプレイ
 
 7と8で既に洗礼を受けているので、「3Dのドラクエ」であることに違和感はない。
 3Dになって、あとは申し訳程度にジャンプができたりモンスターに乗れたりするくらいで、びっくりするくらい「いつものドラクエ」である。

 テレビでやってもスクリーンでやっても画面から受ける印象に特に違いはなかった。
 町やダンジョンの探索で頻繁にカメラを動かさない限り、そこまで目まぐるしい視線移動があるわけでもないので、スクリーンの大画面でもそれほど酔うイメージはなかった。


・総合評価

 IGNは本作を「最新技術で作られたファミコンゲームのようなタイトル」とレビューしている。なるほど言い得て妙だと思う。

 映像や演出面では大幅に進化した一方で、本作のプレイフィールはどこまでも「ドラクエ」である。
 一方で声が付かない点や、昔ながらのターン性バトルなど、「古い」と取られる要素はいくらでもある。もちろん私のように「ドラクエがやりたくてドラクエをやっている」人からすれば「それがいい」のだが、これだけ映像技術が発達した時代で「ドラクエらしさ」が価値を持ち続けられるのかはわからない。
 
 それでも、一つだけ確かなことがある。
 ドラクエ11が最高に面白かったということだ。
 特にラスボス戦、そしてエンディングの一連の展開は、「ドラクエをやってきてよかった、ドラクエが好きでよかった」と心の底から思えるものだった。
 いかにもな日本のロープレをあまり(ほとんど)遊ばなくなって久しいが、ドラクエ11に費やした100時間は、本当に満ち足りた時間だった。


 ホームシアター的な視点では、ゲームシステム的にあまりサラウンド音響が活躍しないのだが、すぎやまこういち氏による音楽は、再生環境にこだわればこだわるほどさらなる輝きを放つ。
 映像面でも、最新世代機で作り込まれたロトゼタシアの世界は、小さな画面に押し込むにはあまりにも勿体ないほどに豊かなディテールが溢れている。これだけ大画面テレビやプロジェクターが身近になった今こそ、ドラクエならではの光と闇の神話的闘争をでかい画面で楽しんでほしい。


 でかい画面とすごい音で遊べば、『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』はもっと面白くなる。

 ホームシアターでゲームをしよう!




【ホームシアターでゲームをしよう!】記事まとめ

でかい画面とすごい音のススメ

「映画的なゲーム」はもっと評価されるべき

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