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画質を取るか、迫力を取るか

ホームシアターにおけるプロジェクターの行く末

 以前は市場動向や将来性という点から「テレビかプロジェクターか」を悩んでいた。
 ところがUHD BDの本格的な始動を受けて、以前とは別の、そして映像機器としてより根本的な問題がにわかに立ち現れた。
 「画質を取るか、迫力を取るか」ということである。


 UHD BDはその十全な再生のために、ディスプレイに以下の二点を要求する。

・ネイティブ4K解像度
・HDR表現のための強靭なコントラスト性能

 この二点を満足しようと思った時、プロジェクターは機器本体や完全暗室環境の構築などで巨大な投資が必要なのに対し、テレビであれば桁が一つ小さくて済む。
 よって現実的には、画質を取ろうと思えばテレビ、迫力を取ろうと思えばプロジェクターを選択することになる。この対立軸そのものはずっと昔から存在しただろうが、UHD BDの登場によっていよいよその存在が浮き彫りにされた格好だ。
 もっとも、BDは映像ソースとして極めて高い品質が実現されており、それを映すプロジェクターの画質が悪いわけでは決してないのだが。あくまでも比較すれば、の話である。
 無限の資金力さえあれば、ちゃっちゃと部屋の壁と天井を全部真っ黒にしてJVCのDLA-Z1あたりを導入すれば片が付くのだろうが、あいにくそんな資金力はない。


 年がら年中画質が云々と言っている身として、4K解像度とHDRのために、素直にテレビに移行出来ればどれだけ楽かと思う。しかし、そう簡単に踏ん切りがつかないのは、「迫力」が想像以上に大きな問題だからだ。

 端的に言って、テレビは小さい。
 65インチには到底手が出ない私にとって現実的な選択になるのは55インチだが、昔の写真で既存の100インチスクリーンと比べると、サイズの差は一目瞭然だ。
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 むしろSapphireがでかすぎる。


 きちんと吟味して選んだテレビであれば、間違いなく画質は向上するだろう。4K解像度、HDR、どちらも現在使用しているプロジェクターのDLA-X30ではどう頑張っても実現できない要素である。
 それ以前に、4KかつHDRに完全対応したディスプレイがなければ、UHD BDのきちんとしたレビューなど不可能だ。【UHD BDレビュー】だって、いつまでも暫定版というわけにもいくまい。
 ついでに、せっかくPS4 Proを買うのだから、4K/HDRゲーミングも是非体験してみたい。PS4 Proのゲームはネイティブ4Kレンダリングではないとか、UHD BDだって現状は2Kマスターの作品がほとんどなのだ、こまけえことはいいんだよ。

 ただ、画面の大きさ=迫力は、画質と同等あるいはそれ以上に、「体験の質」に直結する。冷静に考えれば55インチが小さいわけではないのだが、それでもプロジェクターとスクリーンが実現する画面サイズには遠く及ばない。
 ホームシアターという趣味において、画面サイズは基本的に「でかいは正義」である。「でかい画面とすごい音」こそが「ホームシアターならではの特別な感覚」を生み出す。でかければそれだけで楽しいのである。

 楽しくなければ意味がないのだ。プロジェクターを放逐してテレビに舞い戻った時、画面サイズと引き換えに手に入れた画質の向上は、はたして以前と同等以上の「楽しさ」をもたらしてくれるのだろうか。


 やはり2ウェイシアターか。
 UHD BDによって、シンプルとは最もかけ離れたシステムが最適解になるとは、いやはやなんとも。



【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトベースシアターへの道・まとめ

【UHD BDレビュー】総まとめ

【BDレビュー】総まとめ

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