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ホームシアターにおけるプロジェクターの行く末

 CES2015雑感でも書いたが、別にCESに限った話ではなく、ここ最近の「ホームシアター用プロジェクター」という製品ジャンルには活気がない。

 かつては透過型液晶のプロジェクターを出しているメーカーが複数あった。「フルHD液晶プロジェクター」の本格的な登場はちょうどBDの黎明期と重なっており、各社の製品を比較する雑誌記事等に心をときめかせていた記憶がある。
 DLPについても複数のメーカーが製品を出し、安価なモデルから高価かつ本格的なモデルまで揃っていた。マランツがフルHD DLPプロジェクターを出していたくらいである。
 ソニーとビクターは反射型液晶の高画質を武器に、当時から高級機路線で地位を築いていた。
 2000年代後半は毎年各社がフルモデルチェンジを行い、しかもそのたびに見違えるように性能が向上していく、そんな素敵な時代だった。

 BDの普及で高品質な映像ソースが容易に手に入るようになり、ますますプロジェクターの市場が広がるのではないか……
 当時の私は無邪気にそんなことを考えていた。

 ところが。
 徐々にホームシアター用のプロジェクターから撤退するメーカーが増え始めた。
 気付けば、まともにホームシアター用のプロジェクターを作っているのは透過型液晶ではエプソンくらいになった。DLPは一時期完全に絶えた感があったが、最近のオプトマの本格攻勢により息を吹き返したようだ。
 一方で、ソニーとビクターは相変わらず気を吐き続けた。とは言っても、ソニーは1000ES以降は根本的に進化した製品を出せていないし(それだけ1000ESが凄かったというのもあろうが)、ビクターは未だにリアル4Kプロジェクターを出せずに既存モデルの改良に終始している。また、最近では両者ともに年1回のモデルチェンジもいよいよ出来なくなった。

 悲しいことに、ホームシアター用プロジェクターという製品ジャンルの没落は、相変わらず性能・機能ともに進化を続けるテレビと比べれば火を見るより明らかである。悲しい。
 テレビが大画面化したと言っても、あるサイズを越えればプロジェクターを導入した方が画面サイズに対するコストパフォーマンスは優れている。しかし、テレビの大画面化と低価格化がとどまることなく進行した結果、画面サイズに対するコストパフォーマンスは必ずしもプロジェクターの優位性ではなくなってしまった。何せ60インチ以上のテレビの価格が20万円を切っている時代である。プロジェクターは投射距離や別途必要なスクリーンといった問題を含めて、テレビと競わなければならない。

 ただまぁ、そもそもコストパフォーマンスなんてオーディオビジュアルを趣味にする人間からすれば屁のようなものだ。主に経済的な理由で現実は厳しいけれど。
 大切なのは画質、映し出される映像のクオリティである。そして何より体験の質、感動である。これがテレビと比べて明らかに優位であるなら、どれだけコストが嵩もうとプロジェクターには存在価値がある。
 しかし、その画質が問題なのである。
 プロジェクターの市場が縮小すれば縮小するほど、製品数は減る。当然、新製品も作られなくなる。新製品が作られなければ、画質をはじめとする性能の進化もなくなる。テレビはお構いなしに進化を続ける。
 そして気付いた時には、プロジェクターが現状で持ち得る「画質」という優位性さえ、完全に失われてしまうかもしれない。というより、総合的には既に失われつつある。
 「部屋を暗くして楽しむプロジェクターならではの楽しみ」とか何とか言ったところで、別にテレビだって電気を消せばいいだけだし、さらに100インチ程度のテレビさえ常識的な価格で買えるようになれば、もはやプロジェクターはサイズ面でも150インチ以上といった超大画面の場合でしか優位性がなくなってしまう。むしろそうなってしまった時点で、ホームシアター用のプロジェクターがはたして作り続けられるのか、という問題もある。どう考えてもレコードプレーヤーのようにはいかないだろう。

 映画館用のプロジェクターからスピンオフしたような数百万円する超高級機が、超好事家を相手に細々と売られ続ける……そんな未来が待っている気がする。


 そもそも何故こんなことをあれこれ考えているかと言えば、今使っているDLA-X30の「次」をどうするべきかで悩んでいるからである。
 テレビにするかプロジェクターにするかで部屋の作りは大幅に変わってくる。巨大な労力も必要になる。下手な選択はしたくない。

 色々なものが没落していく。
 それでも私は大画面も高画質も欲しい。
 答えはまだ出ない。

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