川尻大先生の「走る男」を思い出すな……


画質:9 音質:12


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの16bit

画質について。
ド直球の鮮鋭感でもって視覚に突き刺さる画。
クッキリ、パッキリ、シャッキリ、デジタル制作時代のアニメが持つ画質諸要素が最大限、かつ露骨に生かされた映像である。
緻密なグラデーションやら緻密な背景美術やらで見せるのではなく、面積が広い強烈な影=黒と弾ける色彩のダイナミズムが肝であり、視覚が受ける満足度は非常に高い。
変態作画と爆発作画が目白押しのてんこ盛り、細かい破片が画面いっぱいに撒き散らされるようなシーンが満載ながら圧縮界隈で破綻するような場面は皆無に近く、クリスタルクリアでスタッフの脳内を直接覗き込むような映像が維持される。マッハバンドもごくわずか。フィルターワークも美しく極まっている。
ごく稀に、作画素材の解像度不足かコンポジット上の問題か、描線にジャギーが見えたことだけが気になった。
見どころ:
全ての作画

音質について。
静かな始まり。
荒涼とした空間と、どこか遠い観客のざわめき、間抜けな親子のやり取り。
そして車が来る、弾ける!
縦横無尽に駆け抜ける走行音、エンジンの爆音、機銃、ミサイル、衛星兵器、果ては怪獣に至るまで、やりたい放題に鳴る。BGMも乗りに乗っている。
日本においては自制が聞いているというよりは単純にヤル気のない音響のアニメ作品が多い中、REDLINEの音はひたすらエンタメに振ったサウンドになっている。全てのチャンネルが火を噴くようだ。ダイアローグと効果音のダイナミックレンジを広く取った上で、盛り上がるべきところではさらにもう一段階を馬力を捻り出す。
口を開けっ放しにして声にならない叫びを上げながらクライマックスめがけて血と汗と涙を流しつつ爆走するべし。
聴きどころ:
加速
怪獣大決戦



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