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前回の試用ではS1との組み合わせだったが、本導入の今となってはA1との組み合わせである。
というわけで、あらためてL1の唯一にして最大の長所、不便極まる運用上の難点を吹き飛ばして余りあるその音質について検証する。
○比較対象
QNAP TS-119(SSD 600GB) + EL SOUNDアナログ電源
○再生環境
LUMIN A1
BENCHMARK DAC2 HGC(プリとして)
audioquest Ethernet Vodka(直近のハブからA1とL1を接続)
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire
一応言っておくと、LUMIN A1でのアップサンプリング等は一切なし。
さすがに今回はL1の設置環境・ケーブル等にも気を使っている。
再生曲その1
その2
S1との組み合わせでL1を聴いた時、「サーバーでこれほどまでに音が変わる」という体験に打ちのめされ、ある意味では冷静に考える余裕がなかった。
そして今一度聴いてみて、L1の音質的諸相――ギターのジューシーさもボーカルの艶やかさもディティールの表出も演奏の立体感も中低音の充実感も音像の透明感も音場の広がりも、何もかもがあまりにも違う――が何に起因するのかわかった。
滲みがないのだ。
滲みがなくなった結果、音楽が姿を変える。
単に紫だと思っていた音色は、実は青と赤から構成されていた。
ギターの音の表面に、実は歪みが漣のように立体的な感触を与えていた。
乱雑で膨らんだ響きに隠されて、実はパーカッションが繊細なリズムを刻んでいた。
互いに押し退け合うだけだったコーラスは、実は驚くべき立体感を醸成していた。
音の底でどろどろと蠢いていた低音は、実は明快な意図をもって跳ね回っていた。
より一層真っ黒に沈んだ背景に、実はさらに多くの輝きが浮かんでいた。
聴こえる。見える。気が付く。
高S/N化、中低音の改善、色彩感の向上、オーディオ的に語れることは多いが、それらがひとえに“サーバーを替えた”ことで得られるというのは驚きと言わざるを得ない。
あとはやはり、静かな曲よりもやかましい曲の方が大きな向上を実感できる。
なぜサーバーで音が変わるのか、と聞かれても困る。そんなこと私は知らん。想像することならできる、もとい想像することしかできないが、それをさもわかったことのように言い触らす趣味は私にはない。
そして、「サーバーで音が変わるとか本気で言ってるの? 頭おかしいんじゃね?」と言われても甘んじて受けるしかあるまい。実際に聴いてみて、としか言えない。
高音質サーバーという製品ジャンル、大いにありだ。
加えて、聴いていてあることに気付いた。
S1にL1を組み合わせると、中低音の充実感やら演奏の迫力やらが見えてきて――つまるところA1的な要素が加わって、音楽が聴くのがより楽しくなった。
A1にL1を組み合わせると、高S/N化や中低音の見通しが改善されることで――つまるところS1的な要素が加わって、オーディオ的な快感がさらに増した。
面白い。
音は良い。
音だけは良い。
音に限って言えば抜群に良い。
そしてL1はLUMINのプレーヤー以外にも使えるサーバーなので、色々なプレーヤーと組み合わせた時にどんな表情を示すのか、その辺の興味も尽きない。
LUMIN L1 まとめ
LUMIN L1 続・音質編
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