PS3本体の出荷が近日終了 – GameSpark


 私のPS3に対する感情は、普通のゲーム機に対するものではなかった。

 PS3が発売された時はBDとHD DVDの規格戦争真っただ中。
 いかにAV業界から「所詮ゲーム機」と蔑まれようと、PS3がBDの普及において最大の役割を果たしていたことは疑う余地がないし、はじめからBDの優位性を確信していた私にとって、PS3とBDはもはや分けて考えられないほど強く結びついていた。BD不要論やPS3失敗論が幅を利かせていた当時、私にしてみれば「PS3の失敗」は「BDの失敗」と同義だったし、「PS3はただのゲーム機じゃないんだ!」などと息巻いていた記憶もある。若かった……

 BDの存在の大きさに加えて、初期のゲームタイトルの充実度がアレだったこともあって、今思えば、私自身PS3のことを最初は「ゲーム機」というよりも「BDプレーヤー」として見ていたのかもしれない。
 『RESISTANCE〜人類没落の日〜』でFPSの洗礼を受けたり、『ガンダム無双』で謎の感動を覚えたり、『COD4MW』であまりにも死にまくって心が折れそうになったり、『DMC4』で自分の下手糞ぶりにあらためて絶望したり、『アンチャーテッド』で洋ゲーの進歩に驚愕したりと、それなりにゲームもやっていたが、真にPS3をゲーム機として捉えられるようになったのは、2008年初頭にBDの勝利が確定してからだったように思う。

 その後、初期の苦しみを経て2008年の『MGS4』、2009年の『アンチャーテッド2』、2010年の『GOW3』といった傑出したタイトルが次々に登場し、さらに単体BDプレーヤーを導入したこともあって、PS3は私の中でようやく本来のゲーム機としての立ち位置に収まっていった。
 一方で、BDによって大きく開花した「画と音へのこだわり」はPS3を純粋にゲーム機として扱うようになってからも消えることはなく、「ホームシアターでゲームをしよう!」という新たな発想にも繋がっていった。私のオーディオ・ビジュアル趣味の遍歴において、PS3の存在はとてつもなく大きい。

 PS4はPS3とは異なり、最初からいい具合に肩の力を抜いて、純粋にゲーム機としての立ち位置に専念している。その結果として、今日の世界的な成功がある。PS4 ProがUHD BDに対応しないとなった時、ごく一部の界隈から極めて身勝手な批判が噴出したが(そもそもゲームなんてやらないくせに)、まったく的外れもいいところだ。無論私とて、オーディオビジュアルを趣味とする者としてPS4 ProにUHD BDに対応してほしかったのは事実だが、こんなものは単なる個人的な願望に過ぎないと承知している。
 PS4はあくまでもゲーム機なのであって、以前のように新メディアの立ち上げに協力させられる筋合いなどない。
 むしろその点、PS3はゲーム機としての立ち位置に加えてBDの普及拡大を立派に成し遂げたのだから、その功績は偉大と言うほかないだろう。


 ありがとう、PS3。

 長きに渡り、お疲れ様でした。