画質:8 音質:12


映像はAVC、音声はドルビーTRUEHDの16bit

画質について。
フィルム撮り作品。
粒状感が相当荒々しく利いた戦場絵画。『プライベート・ライアン』というよりは『バンド・オブ・ブラザーズ』に近い。
全編通じて明度の低い映像が続き、灰色が基調の画面にグレインが容赦なく満ちる。ただし闇においては不要にノイジーになることもなく浮くことも無く、あくまで厳密に調律された上での画作りであることが分かる。また、フィルムにしては最暗部諧調までかなりの粘りを見せる。明部方向へは殆ど伸びていないので、暗部諧調への粘りを集中的に測るには好適だろう。
解像感、情報量といった要素は最近のデジタル撮影の作品とは比べると心もとないのは事実だが、このフィルムの画はハイビジョンでなければ成立しない類のもの。
根本的な部分で『善き人のためのソナタ』と共通する画作りを見たのは同じドイツ映画だからか、それとも単に私の思い込みゆえか。
見どころ:
蹂躙されるベルリン市街
狼の巣

音質について。
そもそも数えるほどしか作品を知らないのだが、『善き人の為のソナタ』といい、『Uボート』といい、ドイツ映画に音質的なハズレ無しなのだろうか。いつだったか何かで見た気がする、「日本のスピーカーが世界的に受けないのはドイツ語みたいな複雑な発音を上手に再生できないから」などという話を思い出す。
要は、ドイツ語の発音をきちんと収録&再生できるだけで、超優秀録音盤になる、ということ。
発声だけでなく口腔内で生じる音も克明に聴かせる素晴らしいダイアローグ。極限状態における心情の発露を鬼気迫る迫力で再生する。文字通り、最後の微かな一息まで……
加えて、戦争映画であるゆえの爆音、銃声の類に到っても一切手抜き無し。作品の性格上明確な“戦闘”の描写は少なく、どこからか飛来する砲弾や爆撃が着弾するといった描写が殆どながら、爆発の威力、破片が四方八方に飛散しあたり一面を引き裂く様を存分に聴かせる。
聴きどころ:
総統閣下
子供たち……



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