前日:天明4年10月8日/平成30年11月20日


天明4年10月9日(新暦換算:11月21日)

秋田県由利本荘市鳥海町伏見




 九日。家の上から雪が崩れ落ちるのは、地面が揺れ動くかのようである。日がほのかに照ったので、梢の雪がすこし消え、むら雀などが、あちらこちらに棲み処を求めていた。


 今日の日記はこれでおわり。

 屋根から盛大に雪が落ちると、確かに「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」という地震めいた音と振動が発生する。音にせよ揺れにせよ、三河の国生まれの真澄にとっては初めての体験だったろう。

 また、今日は多少天気が回復して雪が融けた的な記述がある。
 実際、初雪がそのまま根雪になることはあまりない。たいてい、一度は天候が回復したり雨が降ったりで初雪は消えるという感覚がある。
 つまりこういう感じである。


 もっとも、『齶田濃刈寢』で真澄が遭遇した天明4年の初雪は、そのまま根雪になる勢いで降ったようだ。

 平成30年の冬は暖冬だと言われているが、どうなることやら。
 私としては、雪の有無で真澄の見た光景との乖離が激しくなっているので、そろそろ降ってほしいものだが。



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●『齶田濃刈寢』本文・参考文献

『秋田叢書 別集 第4』 秋田叢書刊行会, 1932
『菅江真澄遊覧記1』 内田武志・宮本常一編訳, 東洋文庫, 1965

記事中の【見出し】は『秋田叢書』にあるものをそのまま使っている



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翌日:天明4年10月10日/平成30年11月22日



【記事まとめ】『齶田濃刈寢(あきたのかりね)』――菅江真澄31歳・秋田の旅
初めて秋田の地を踏んだ菅江真澄と歩く、234年後のリアルタイム追想行脚

『菅江真澄と歩く 二百年後の勝地臨毫 出羽国雄勝郡』
江戸時代後期の紀行家・菅江真澄の描いた絵を辿り、秋田の県南を旅した紀行文


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