【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/30初出の記事を更新・追記】



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画質:10 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:15☆)
音質:10
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC 3.4K/6.5K撮影・4Kマスター
音声:DTS-HD Master Audio 7.1ch


○画質
 終始、思わずため息が出る。 
 冒頭、鬱蒼とした森の中、木々の根元を流れる水が、滑らかな襞の上に僅かな木漏れ日を照り返すとともに、水底の地面を透かし見せる。もうその様を見るだけで度肝を抜かれ、本作が到達した画質の高みに恐れ入った。
 ぶれず、濁らず、最善の上に完璧を実現した珠玉の画である。
 シーンごとに使ったカメラに起因するであろう無視できない画質差もあるにはあるのだが、それでもなお総じて途方もなく高いレベルが維持されており、ケチの付け所がない。ぎりぎりの闇の中にあってさえ、解像感が落ちることはついになかった。そして作品全体を支配する薄暗く陰鬱なトーンの中でさえ隔絶した解像感が得られているのだから、稀に現れる青空と陽射しの下の克明さはもはや筆舌に尽くしがたい。
 なにより、雪国の住人にこの画は効く。

【4K/HDR環境での追記】
 圧倒的な「自然」
 解像感、情報量、稠密な階調、濃厚な色彩、HDRの精華たる闇夜の焚火や朝日に輝く雪融けの枝葉など、色々あるが、それらのすべてが、究極的に「自然」という印象に結実している。
 現時点で4K/HDRならではの「自然」という印象を最も高度に伝えるタイトルである。

○見どころ
 すべて


○音質
 効果音は常に映像の引き立て役に徹し、それ自体が前面に出しゃばるようなことはない。そのぶん緻密かつ巧妙に作られており、過酷な自然環境を濃密な音によって表現することに成功している。全編通じて「水」の音の使い方が印象的で、流れ落ちる滝の轟音から木々の枝から落ちる雪融けの雫に至るまで、迫力と繊細さが完璧に同居した実に見事なもの。
 音楽は効果音の延長的な使われ方がなされており、「劇伴だ! 聴け!」といった感覚はない。それでもマルチチャンネルを漏らさず使って猛烈な音圧を投げかけてくることも往々にしてあり、なおかつ非常に低域が充実しているため、聴き応えがないわけではまったくない。
 なお、メニュー画面ではソフト制作の時点で何かを間違ったとしか思えないほどに異様な轟音が鳴り響くため要注意。

○聴きどころ
 水の音


○総評
 画質においては間違いなく現時点における最高峰の一角。某所で有機ELで見た限り、HDRの効果も相当に大きい。
 一方でDolby Atmos未収録、66GB仕様など、現状の仕様は「完全版」とは言えない。
 20世紀FOXは『オデッセイ』で、通常版本編&DTS-HD Master Audio 7.1ch収録のUHD BDを出した後、あっという間にエクステンデッド版&Dolby Atmos収録のバージョンを出したという前科があるので、高価な日本盤は購入を見送った。
 そのうち本作も、Dolby Atmos収録&100GB仕様の完全版が出てくる気がしてならない。「最後の決め打ち映像メディア」であるはずのUHD BDでこんなことになるのは正直心外だが、致し方なし。



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55BP6

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2



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