久々の魔境注意。
ネットワークオーディオの魔境を往く
そのうえであえて言わせてもらえば、困ったことに、LANケーブルで音は変わる。
とてもとても困ったことに、変わってしまう。
この前提に立って、LANケーブルを聴く。
やってきたのはテレガートナーのMFP8 Gold。
テレガートナーは自分とこが作っているごついRJ45のプラグがaudioquestをはじめとするオーディオケーブルメーカーに次々採用されるのを見て、「いっちょ自分たちでもやってみるか」と考えたのだろう。とりあえずオーディオ業界は恐ろしいところなので、酷い目に遭わなければいいのだが。
で、これが一時的な在庫切れを起こすほど売れているようだ。
オーディオ用のLANケーブルというと、今までaudioquestのものしか聴いたことがない。プラグメーカーが手掛ける完成品の実力や如何に。
それにしても、なんとまぁ立派なパッケージングである。
中身。今回送られてきたのは0.5m。
件のデータ計測シート。印刷の解像度が妙に低く詳細は判別不可能。
ケーブルの品質に対する自信の表れなのだろうが、正直言ってこれを見せられたところで私には何が何やらさっぱりである。喜ぶ人は喜ぶのかもしれない。
プラグ。
自社製品ならではの特別ゴールド仕様。
プラグのバリエーションもサンプルとして送られてきた。
いまいち使う局面が想像できないのだが、結線のスペースが異様に小さい、あるいは極限まで突き詰めた機器のセッティングにおいてケーブル長を最短にしたい場合ならば出番もある……か?
おそらく最も早い段階でテレガートナーのプラグ「MFP8」をオーディオ用に使用したaudioquest、そのVodkaと並べてみる。そこはかとなくaudioquestのオリジナル仕様も入っているようだ。
販売価格を考えればMFP8 Goldとほぼ同ランクのケーブルだと言える。
あと、どっちもかなり硬い。
音の比較はこのVodkaと行う。
現在のシステムはハブを介してLUMIN A1とL1の両方にVodkaを使用しており、A1側のケーブルを交換して聴く。少なくともLUMINのネットワークオーディオプレーヤーであれば、LANケーブルを抜き差ししてもプレーヤーの認識が……なんて問題は起きない。
さて……
……
…
端的な「いい音」。
ただし自然な音とは異なる。「意図的ないい音」とでも言うべきか。
全体的、特に高音に硬質な質感があり、それが良い意味でアクセントになることで高域の伸びが感じられる。
響きはやや少なく音像は引き締まる傾向で、一音一音が混濁せずに際立つ印象。そのおかげで、音数が多く音圧の大きな音源になればなるほど解像感の向上が感じられる。
高音域の硬質な質感とあわせ、クラシックよりも、むしろ演奏に気合の入ったロックやポップスに合うのではなかろうか。
それに比べてVodkaの穏やかなこと穏やかなこと。
スピーカーケーブルやらラインケーブルやらで感じていたaudioquestの特質はやはりLANケーブルでも健在だったようだ。
というわけで、MFP8 Goldは結構積極的に音を作っていく類のケーブル、というのが私の印象。
好き嫌いやシステムによって合う合わないはあると思うが、明快に「いい音」と感じさせるだけの力はある。
たまには魔境も楽しい。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】
【Roon】関連記事まとめ
よくある質問と検索ワードへの回答
【レビュー】日本テレガートナー MFP8 Gold
スポンサーリンク