画質:15 音質:7
映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bitで6.1ch収録
画質について。
方々で途轍もない高評価を受けている本作。事実、本当にすばらしい。デジタルアニメにあるまじき温かみに満ちた画である。あんまりにも高評価を聞くもんで、ほんとはそこまで買う気は無かったけど買ってしまった。
本稿ではポニョのBDが“異常なほど高画質”と言われる所以であるその温かみについて考えてみる。
さて、このBDの画を実現させた最たるものは“粒子”だ。(HiViでは塗りムラと言っていたような)
キャラクターや単色グラデーションの背景など、デジタル彩色を施されたものにこの粒子が付与されている。この粒子に関する考え方はイノセンスにおけるフィルムグレインフィルターや鴉-karas-のすりガラスフィルターと基本的には同じ。つまるところデジタル彩色だとスカッと出すぎてなんだか妙だからどうにかしてアナログっぽくしよう、という話である。
イノセンスや鴉-karas-のように露骨なものとは違い、ポニョにおけるこの“粒子”は非常に“さりげない”。見ようとしなければそもそも意識すらしないほどに微小なものだ。しかし、この実にさりげない粒子感こそ、ポニョの画をデジタルアニメとしては異常なほど温かみがある、本当の意味でアナログ的美点を持たせた理由なのだ。さらに、実際のアナログ製作のアニメが持つ粒子感(粒状感とまでは言えない)もまた、ポニョのそれと同じで実にさりげないものなのである。その辺は攻殻機動隊とか人狼とかビバップ劇場版とかを参照されたし。ちなみにポニョのBDの画を見たときに真っ先にカリオストロの城の画が浮かんだくらいである。さすがにアナログ製作アニメの持つ空気感までは無いが。
この粒子感が果たしてマスターの時点で付加されていたものなのか、それともBD化にあたって付加されたものなのか、そこまでは不明。
背景美術や色彩、グラデーションの表出はもはや言うことが無いくらいに素晴らしい。夜の海でカーチャンが発する光にマッハバンドが出ている気もするが、そもそもそういう画なんじゃないかと思わせる時点であたしの負け。
アナログ製作末期のアニメの持つ絶妙な粒子感と、デジタル製作アニメの鮮明さを併せ持つ、実に見事な画である。
音質について。
手堅い音響。
声はきちんと通るし、水の効果音、特に気泡の音などには工夫とこだわりが感じられる。
が、それ以上でもそれ以下でもない。音楽も頭打ち感があって盛り上げるに欠けるし、たいして6.1chの恩恵も感じられない。別にポニョに対して音響によるカタルシスを求めちゃいないので別に構わんけど。
あとオープニングはなんて言ってるのかまるでわからん。
さあ、早くナウシカともののけ姫をBD化する作業に戻るんだ
BDレビュー総まとめ
【BDレビュー】 第149回『崖の上のポニョ』
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