と、いうわけで【音響の火花】を始めようと思う。第1回なので、どう書くべきか、どんなデータが必要かも合わせて考えつつ。
 この記事が何のためにあるのかについては『序』を参照のこと。


作品データ

鴉-karas-

・タイトル
鴉-KARAS-

・シーン
第一話のオープニング終了まで

・ソース
鴉 -KARAS- フルエピソードエディション [Blu-ray](2009)



 プライベート・ライアンと並ぶ私がサラウンドシステムを構築するきっかけとなったソフトであり、未だに私にとって最上級の音であり続けている。
 冒頭の約7分間はもはや伝説と言っていいだろう。

 厳密に言うと、この作品の音響はよくできたハリウッド映画に比べれば、緻密さや技巧では劣っている。
 ただ、そんなことはもはやどうでもよくなるくらい、映像展開に伴う劇的な盛り上がりと、マルチチャンネルの徹底した活用が圧倒的に素晴らしい。
 全チャンネルから朗々と鳴り響くメインテーマをバックに、二つの影が夜闇を切り裂いて飛び回る。時には人型、時には戦闘機形態となり、白刃を打ち付け光弾を乱れ撃つ。目まぐるしく動き回るカメラにも音響の中心はぴたり追随し、弾け飛び吹き荒ぶ音の嵐を巻き起こす。前方から撃たれた光弾がカメラを突き抜け、背後に飛び散っていく際の異様なハイテンション。紫電一閃、ぶつかり合う光と白刃の火花から突如として炸裂し網膜と鼓膜に焼き付けられるスタッフロール。そして僅かなインターバルを経て、廻向と先代鴉の全身が露わになり、BGMが移り変わり、重厚な男声コーラスが加わる中でぶつかり合う二人の鴉。限りなく静止に近づく時間。舞い散る雪華の煌めき。神がかった映像演出、火花散る音響、それらすべてが合わさり、瞬きも呼吸も忘れる灼熱の一瞬が訪れる!

 ただひたすら、かっこいい!
 この一言に尽きる。

 音響的には、ステレオでは絶対に味わえない、マルチチャンネルでしか再現不可能な面白さを非常にわかりやすく伝えられる素晴らしいソースである。アニメ好き、特に萌えオタじゃなく映像そのものに並々ならぬこだわりがある人に見せれば、もうイチコロじゃないかな。


+異様なテンションで展開するマルチチャンネル総動員の炸裂サウンド
+映像の展開にぴたり追随し、圧倒的な盛り上げを演出する音響の鑑
+サラウンドシステムでなければ味わうことのできない音響のあるべき姿
☆灼熱の一瞬


http://www.youtube.com/watch?v=q_N6s16ogVs