オーディオマニアとは業が深いもので、何か機材を買って「なんていい音なんだ!」と感動しても、同時に「アレをコレすればもっといい音になるはず」という種も孕むことになる。
 そして時が経ち、欲望が我慢の地表をぶち破いて芽吹いた瞬間、金が飛んでいく。
 この繰り返し。これはこれで楽しいけどね。

 というわけで購入したNmode X-PW10。P“M”ではなくP“W”なのはパワーアンプ仕様だから。MAJIK DS-Iのプリ出力に繋いでAudience122を鳴らそうという魂胆である。MAJIK DS-Iに打ちのめされてセパレートシステムを放逐したというのに、気づけばまたこのありさま。あぁ楽しい。

 購入前に、通常のプリメイン仕様のX-PM10を自宅試聴した。
 「鳴る!!!!!!!!!!!!!」というのが第一印象だった。
 雪のようなAudience122が、決して冷気や翳りだけがDynaudioではない! と高らかに歌っていた。
 こんなにも鮮やかな音がDynaudioから出るのか……

 気が付くと、X-PW10を買っていた。
 特注の耳なしシルバー仕上げ。


本体
X-PW10_s
電源部
X-PW10電源_s


 ある時、あるイベント会場で、Nmodeを有するリリックの代表に、このアンプの駆動力の秘密を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

 Nmodeの1bitアンプは駆動力云々と言うよりも、膨大な情報量を叩き付けることで、スピーカーが“鳴らざるを得ない”という状況を作り出す。

 たまげたなぁ……


 1bit云々はさておき、音に迫力や量感を求めるアンプではないが、鮮度、スピード、そういった要素はずば抜けていると思う。
 Sapphireだってじゅうぶん鳴らせる。
 あと、低消費電力なのも素晴らしい。
 筐体はもっと豪華かつリジッドにしてもいい気がする。



【システムまとめ】