今日でPS3の日本発売から10年。
BD対Hなんとかとの規格争いで、PS3の存在はあまりにも巨大だった。
PS3はBD黎明期における事実上唯一の「手が届くBDプレーヤー」であり、しかも単体BDプレーヤーと比べて二桁・三桁違う販売数でBDの普及に大きく貢献しながら、AV業界、特にメディアのPS3に対する態度は常に「所詮ゲーム機」だった。PS3のBDプレーヤーとしてのスムーズかつ安定した動作はまったく無視され、常にフリーズしているかのような動作のBDプレーヤーが「AV機器だから」ということで持て囃されていた。
まぁ、今になって考えてみればその理由もわからないではないが。
ただ、BDドライブの搭載は(決してこれだけが理由ではないにせよ)PS3の価格を高騰させた。「ゲーム機としては」あまりにも高くなった価格は、PS3の普及の大きな足かせになってしまった。発売からかなりの期間、「BDなんて積まずにゲーム機に特化すればよかったのに」という言説をいったいどれだけ目にしたことか。
時は流れ、PS4が発売される。
PS3での諸々の反省を生かし、ゲーム機としての立ち位置に特化した結果、現時点で大きな成功を収めていることは知っての通りである。
そして最近、PS4 Proが発売になった。
あくまでも「より良いゲーム体験を実現するためのもの」であるとして、正式発表の段階でUHD BDドライブを搭載しないことが明らかになった。
その途端、AV業界は「なぜUHD BDを積まなかったのか」と騒ぎ出した。そりゃ「所詮ゲーム機」でも、ゲームになんてまったく興味がないとしても、新メディアの普及という点では間違いなく役に立つもんな。結果的に自分たちも得をする。なんともわかりやすい手の平返しである。
私自身はPS3でBDに触れたこともあり、PS3のBDプレーヤーとしての価値も大いに認め、「所詮ゲーム機」などと思ったことはない。そしてUHD BDの普及を願う者として、PS4 ProにUHD BDを積んでほしかったとは思っている。しかし、それは極めて個人的かつ自分本位な願望に過ぎないと承知している。
PS4の「あくまでもゲーム機」という立ち位置を考えれば、ゲーマーの端くれとして、性能強化版のPS4 ProであってもUHD BDを積まない理由は理解できる。PS3/BDの時と異なり、UHD BDは既にまともなプレーヤーがいくつも存在するというのも大きい。
一方、AV業界だけでなくゲームメディアやゲーマーの一部までも「なぜUHD BDを積まなかったのか」と言う理由は少々測りかねる。10年前はまったく逆のことを言っていなかったか。
とはいえ、現にゲーム機であることに特化したPS4がこれだけの成功を収めている事実を見れば、PS4 ProがUHD BDを積まなかったことが間違いだとは到底思えない。
UHD BD対応「Xbox One S」が11月24日発売。1TBモデルで34,980円 – AV Watch
XBOX One SはUHD BDを搭載し、またそのことを売りにしているので、かつてPS3が担った「ゲーム機による映像メディアの普及」という大役は、そちらに任せればいい。単体UHD BDプレーヤーに比べれば桁違いに売れることは間違いない。日本での展開は限りなく謎だが。
やっぱりゲーム機はゲームやってなんぼ。
PS4 Proはこれでいいのだ。
PS4 ProがUHD BDに対応しなかったのは残念だが、それでゲーム機としての価値が減ずるわけではない
【ホームシアターでゲームをしよう!】記事まとめ
PS3十周年とXbox One Sの日本発売とPS4 ProとUHD BD
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