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言の葉の穴で扱っていた【ホームシアターでゲームをしよう!】関連のコンテンツは、今後は新サイト【Game Sounds Fun】で扱うので、そちらをご覧ください。
Game Sounds Funの発足にあたって
【追記おわり】
コンテンツを楽しむ環境にほんの少しでもこだわれば、まさにそれこそがホームシアターなのである……と言ってはみたものの、一般論としてなかなかそうはいかない、というのも承知している。
シアター。映画館。
ホームシアター。おうちの中で映画館。
すなわち、「でかい画面とすごい音」があってこそのホームシアター、である。
要するに、こだわりの具体的な対象が「でかい画面とすごい音」なのである。
というわけで、この記事では「ホームシアターならではの特別な感覚」を生み出す「でかい画面とすごい音」について、もンのすごくざっくばらんに説明する。
まず、「でかい画面」について。
そもそも、どの程度の大きさをもって「でかい」と呼ぶかは人によるだろう。個人的には、学生時代に28インチのワイドブラウン管でエースコンバットをやった時点で「でかい! すごい! 最高だ!」と死ぬほど感動したもんだが。
テレビのサイズは40インチ50インチが当たり前、しかも低価格化が行き着くところまで進んだ昨今、「大画面でゲームを遊ぶ」ことのハードルはとてつもなく低くなっている。
ただ、既に「普通」になってしまった40インチ程度のテレビで「ホームシアターならではの特別な感覚」が得られるか? という気もしなくはない。
テレビではまず得られない画面サイズ、例えば、いっそ100インチなら……
こうなる。
100インチワイドの大きさはおよそ横221センチに縦125センチ。
大きさのわかりやすい比較として、身長170センチの知人に立ってもらった。
でかい。
これでゲームをするのである。
ただでさえ全身全霊で画面を見つめ、心を熱く焼き焦がす体験である。
その画面が視界一杯に広がるのだ、そこから得られる没入感は計り知れない。
繰り返すが、テレビでもいい。昨今のテレビであれば画面サイズに不足はなく、じゅうぶんな迫力を味わえる。何も絶対プロジェクターを使えと言っているのではない。
とにかく、テレビでもプロジェクターでも、「でかい画面でゲームを遊ぶともっと面白い」という体験を味わってほしいのである。
続いて、「すごい音」について。
そもそも、いったい何をもって「すごい音」とするのかという時点で難しい。
迫力的な意味では「映画館の大音響」がひとつの指標になるわけだが、それを家庭で再現するのは物理的に限りなく不可能に近い。そこで現実的な方向として、「素直にすごいと感動できる音」を目指すことになる。
ホームシアターだからといって、別にシアターセット的なものを使わなければいけない理由はない。何かしらのアンプやスピーカーがあるなら、まずそれを繋げてみればいい。気に入っているヘッドホンがあるなら、とりあえずそれで聴いてみればいい。薄型化の煽りを食ってショボショボ一直線のテレビのスピーカーではなく、手持ちのアンプ・スピーカーやヘッドホンを繋いでみること。そのこだわりこそが「すごい音」のはじまりである。
ただ、音楽を聴くのが中心のいわゆる「(ピュア)オーディオ」と、いわゆる「ホームシアター」ではシステムに大きな違いがある。
それが「サラウンド」の存在である。5.1chとか7.1chとかドルビーなんたらとか、DVDのパッケージの裏を見れば何やら書いてあるアレのこと。
サラウンドは元々「囲む」という意味で、つまるところ「包み込まれるような音」を意味する。でもって、今日サラウンドといえば、基本的にスピーカーを複数配置した「マルチチャンネル・サラウンド」を指す。例えば「5.1ch」とは、スピーカーが5本と、低音専用のサブウーファーが一個、というシステムを表す。
図に表すとこうなる。
左の線が画面で、中央右寄りの点が視聴位置。
コレがいわゆる普通の、スピーカーが2本の「2chステレオ」のシステム。
存在がほとんど意識されないだけで、テレビのスピーカーなんかも基本的にこうなっている。
向かって左右にスピーカーがあることで、スピーカーの間や周囲に音が広がり、「画面を左右に横切る」音を表現可能になる。
優れたシステムであれば、スピーカーの上下前後左右、それこそ視聴位置の後ろにまで立体的に音が広がる。
ステレオに対して、より多くのスピーカーを配置することでさらなる音の広がりと「包囲感」を目指したシステムが「サラウンド」になる。
下の図は「7.1ch」のシステムで、サブウーファーを省いたスピーカーの配置。
スピーカーの数が増えることで、真横、さらに真後ろからも明確に音を出すことができる。こうして「包囲感」は著しく高まる。
また、視聴位置をスピーカーが囲むことで、「自分の周囲をぐるりと回る音」を表現可能になる。いわゆる「移動感」というやつである。
「右前方から放たれた銃弾が頭をかすめて左後方の地面に着弾して乾いた音を立てた」なんて音の表現は、まさしくサラウンドだからこそ可能になる。
鳥肌が立つほどの唯一無二の感覚。せっかくホームシアターで「すごい音」を目指すなら、是非サラウンド環境を構築してほしい。
ちなみに私のスピーカー配置は6.0chでこうなっている。黒いのと黄色いのは機器を入れるラック。サラウンドはいいぞ。
特にXBOX360やPS3が出た辺りから、ゲームの音は凄まじい進化を遂げた。元々評価されていた「ゲーム音楽」とは別に、純粋な「音響効果」が凄まじく進化したのである。
ゲームの音は当たり前のように5.1chや7.1chで収録されるようになり、下手な映画よりも遥かに凄まじい音を聴かせるゲームタイトルも存在する。
さらに、今AV業界ではDolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトベースのサウンドが騒がれているが、そんなことを言ったらゲームの音はずっと前からオブジェクトベースである。右から撃たれれば右から音がするし、左から話かけられれば左から音がするし、後ろからゾンビに襲われれば後ろから音がする。炎上する車の横を通り過ぎれば、炎の音も前→横→後ろと移動する。プレーヤーの操作にダイレクトに反応し、リアルタイムで繰り広げられる音響は、特にプレーヤーの視点とゲームの展開が完全に一致するFPSなどで絶大な効果を発揮する。もはや恐怖を覚えるレベルの凄まじい臨場感である。
もちろん、年代的にサラウンドとは無縁のタイトルであっても、音の環境にこだわることで、音楽でも効果音でも、あらゆる点で大きな恩恵を得られる。
タイトルにもよるが、昨今のゲームは映像面だけでなく、音についても、映画とまったく遜色のないレベルで作り込まれていると言っても過言ではない。
中には『The Last Of Us』のように、ソフトの側でスピーカー配置との厳密なマッチングを行い、音響効果の最大化を図るようなタイトルまで存在する。
自らの操作に応じてリアルタイムに姿を変える未曾有の音響体験。映画好きはもちろんだが、むしろゲーム好きにこそサラウンド環境の構築を強くおすすめしたい。
とりあえず安いAVアンプを買って、スピーカーも5本買って、最初はあまり理想的な配置にはこだわらずになんとなく自分の周囲に置いて、映画でもゲームでも何でも、サラウンドを体験してみるといい。たったそれだけで、ただテレビのスピーカーから聴くよりも、100億倍楽しい体験ができるはずだ。
厳密な配置だの何だのを気にするのはその後でいい。
コンテンツに貴賎なし。
「所詮ゲームだから」などと斜に構える必要はどこにもない。
ゲームがホームシアターで楽しむコンテンツとして見過ごされる、あるいは一段下に見られなければいけない理由など何ひとつないのだ!
ホームシアターならではの特別な感覚、でかい画面とすごい音。
それらがゲームプレイにもたらす没入感、臨場感、そして途方もない興奮。
もうほんとに、面白すぎて死ぬ。
死んだ。
まったくもって、ゲームを遊ぶには最高の時代である。
今こそホームシアターでゲームをしよう!
【ホームシアターでゲームをしよう!】 記事まとめ