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コンテンツに貴賎なし

 画質が良かろうが悪かろうが、音質が良かろうが悪かろうが、どんな機材や環境で再生・鑑賞しようが、作品――コンテンツそのものの価値は変わらない。
 どんな音響機器で聴こうが素晴らしい音楽は素晴らしいし、どんな映像機器で見ようが素晴らしい映像作品は素晴らしい。
 ノイズまみれのVHSを14インチのブラウン管に繋いで見たインデペンデンス・デイは死ぬほど面白かったし、古いPCに付属してきた小さなスピーカーで聴いた時の傷痕は計り知れない感動を与えてくれた。
 下手な映画館が裸足で逃げ出すようなレベルのホームシアターでアニメを見ようがゲームをしようが、高級オーディオとか呼ばれているものでアニソンを聴こうがピコピコ音を聴こうが、それをとやかく言われる筋合いはない。

 私はいわゆる「オーディオ(オーディオ・ビジュアルを含む)」という趣味が「高尚」と見なされるのも、あるいはそれを自称するのも大嫌いである。クラシックやジャズを聴かないとオーディオじゃない? そんなもん知るか。
 その一方で、「オーディオのメインストリームから外れている」と見なされているコンテンツ――特にアニソンやゲーム等のオタク要素の強いコンテンツを好むことに対し、それ自体に何らかの特別な価値や意義を見出すような姿勢にも違和感を覚える。


 コンテンツに貴賎なし。
 オーディオに相応しいとか相応しくないとか、なぜそんな区別をする必要があるのか。
 聴きたいものを聴けばいいし、見たいものを見ればいい。ただそれだけの話だ。
 ひたすら楽しんだ者勝ちである。
 再生品質の飽くなき追求を否定する気はまったくないが、私にとってオーディオとは楽しみを増幅させるためにある
 「楽しみ」は「感動」と言い換えてもいい。

 自分が愛してやまない作品が、いい画・いい音によってさらに面白くなる

 これこそがオーディオの与えてくれる夢ではないのか。
 自らオーディオの可能性を狭める必要などどこにもないのだ。


 ただし、作品そのものの価値とは無関係に、画質音質の優劣は厳然と存在する


 例えばDVDとBDの差は言うに及ばず、BDという土俵にあっても作品によって天と地ほどの画質差が存在する。
 BDを見ていて、「この映画、もっと高画質ならなぁ……」と残念に思うことも、「なんだこの手抜きクソ画質は! ふざけんな!」と怒り狂うことも往々にしてある。
 こんな風に思うのも、私にとって高画質は楽しみを増幅する大きな要素だからだ。だからこそ高画質を求めるし、画質の善し悪しは評価の対象にもなる。


 音質についても、映像(音響)や音源によって、歴然たる音質差が存在する。
 経験上、あくまで相対的にだが、洋楽に比べると全体的に邦楽は音質で劣る。そしていわゆるアニソンは劣るを通り越してひどいの領域に片足を突っ込んでいるものも多い。「この曲、もっと音が良ければなぁ……」と思うことも往々にしてある。映像音響だってそうだ。凄まじい映像が繰り広げらていても、それに対する音響がしょぼくてがっかりすることだって往々にしてある。
 こんな風に思うのも、私にとって高音質は楽しみを増幅する大きな要素だからだ。だからこそ高音質を求めるし、音質の善し悪しは評価の対象にもなる。


 勘違いしないでほしいのは、繰り返しになるが、作品そのものの価値と画質音質は別物だということ。
 「クソ画質だからこの映画は無価値」「クソ音質だからこの曲は無価値」、こんなことはあってはならない。逆に、「超高画質だからこの映画は素晴らしい」「超高音質だからこの曲は素晴らしい」、こんなこともあってはならない。


 コンテンツに貴賎なし


 作品そのものの価値を心から認め、愛するからこそ、そこから得られる楽しみを増幅し、感動を最大化するために、オーディオにこだわる。
 好きな作品/コンテンツがあるのなら、それを変に特別視する必要も恥じる必要もない。作品やジャンルによっては画質や音質で大きな差があるのは事実だが、それを踏まえたうえで、より善い再生品質を求めて環境を構築していけばいい。

 そして、システムの実力を測るためには、好き嫌いに関係なく、高画質高音質のコンテンツが必要なこともまた確かである。
 そこがオーディオのめんどくさいところであり、また面白いところでもある。


 『アニソンオーディオ』を読んでいて、ふとこんなことを考えた。



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