画質:15 音質:12


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの16bit。

画質について。
はたしてこの映画を“実写”と言っていいのか微妙なところではあるが、役者のライブアクションが介在する映画を実写と呼ぶとするなら、これは間違いなく実写映画として過去最高の画質である。
ぐつぐつと煮えたぎり、熱く熱くほとばしるとてつもない量のディティール。
俳優の演技以外、背景その他はほとんどグリーンスクリーン撮影でのCG合成であり、色調も限りなく全編モノクロに近い画作りがなされていてなお――ほぼ光と闇のみの画でなお!(だからこそ、か?)目を灼くが如きすさまじい情報量とディティールが画面にみなぎる。
水面からぬぅっと頭を出すスピリット/オクトパスのシーンなど、戦慄を覚えるほどのおぞましい実在感を伴う。初めて実写ソフトで「触れそう」と思ったくらいである。
さらに何が面白いって、そこまでの基礎画質・情報量を有しながらも徹底的にそれらを“真っ黒に”絵画的にコミック的に塗り潰しているということ。ほれ、アレだよ、鴉-karas-のアレ。敢えて塗り潰すということ。しかし、塗り潰したとはいえ“闇の中にある何か”の存在は決して消えるわけではなく、むしろより強い息遣いを感じさせる。この手法によりますます光と闇の鮮烈な対比が増幅され、さらにさらにディティールは輝きを増すのだ。
もはやフィルムライク(笑)だの粒状感だの、そういった従来的な画質を構成する要素までも映像面から解体して新たな地平に到達してしまった印象さえある。
必見ッ!

音質について。
音響的にあまり大暴れをする映画ではないものの、オーディオ的な意味での音質は抜きん出ている。良い録音のCDを思わせる非常に粒立ちの良い、なおかつそそり立つように鋭敏な音は作品世界に格別のスパイスを利かせている。
BGM、効果音の使い方やサラウンドミックスは実に優秀かつ面白おかしい。
数は少ないものの、音響的に大盛り上がりをするのはやはりどんぱちのシーン。オクトパスの銃撃は実に鋭く豪放に鳴り渡る。



BDレビュー総まとめ