某アニメを意識して今更取り上げたわけでは……なくはないです。
画質:9
音質:10→15
(評価の詳細についてはこの記事を参照)
映像:AVC
音声:DTS-HD Master Audio 5.1ch
○画質
素晴らしいフィルムの画。
情報量や解像感など、現代の画質に求められる諸条件を完全にクリアしているからこそ、「フィルムならでは」の味わいが活きる。フィルムグレインはそれほど積極的に姿を見せず、雰囲気の下支え程度。
青空すらまるで姿を見せず、全編通じて、鈍く沈痛な質感の中で物語が進行する。
コントラストはかなり浅め。それでいて諧調は非常に稠密。狭い輝度レンジの中に情報量と諧調がぎっしりと詰め込まれているため、視覚的な満足度はかなり高い。物語の主役である戦車それ自体のディテールや、戦場の汚濁をすべて見渡せる情報量が確保されている。
一方で到るところで黒浮きが見られるが、戦車内の薄暗がりの表現など、コレは狙ってやったものなのだろう。ただ、結果としてプライベート・ライアンに見られたような画の凄みまでは感じることはできなかった。
○見どころ
戦車
○音質
マルチチャンネル・サラウンドの活用度としては満点。至近距離を徹甲弾が掠めていく様などはマルチチャンネル・サラウンドの本領発揮である。
ただ、残念なことに、致命的に戦車に関連する音が軽い。鋭さは十分だが、軽い。サブウーファーがないせい? そうは思いたくないが。
超重量を動かすキャタピラーが轟音と共に大地を軋ませ、戦車砲の一撃で空気が揺れる……的な体験を期待したのだが、いかんせん、軽いのである。これがリアルなのだと言われてしまえば立つ瀬がないが、もっと凄まじい音響体験をしたかったのも確か。
ちょっと納得がいかずプライベート・ライアンの終盤の市街地での戦車戦を見てみたが、「そうそうコレだよコレ!」と思ってしまった。さすがに比べる相手が悪すぎる気もしないではないが、やっぱり、音響的にもっと戦車に活躍してほしかった。
戦車砲よりも機関銃の方が音数的にも威力的にも印象に残るというのは正直どうなんだろう。
【サブウーファー導入後】
あらゆる鉄火が別物に化けた。
超重量を動かすキャタピラーが轟音と共に大地を軋ませ、戦車砲の一撃で空気が揺れる、まさに求めていた通りの完璧かつ最上級の戦場音響へと変貌を遂げた。
まさしくLFEとサブウーファーの意義を体現する作品である。
○聴きどころ
ティーガー
機関銃
○総評
素晴らしい画質と極め付きの音質を備えた超優秀盤。
某アニメ……もといガルパンの劇場版の音響はマッドマックスを参考にしたとのことだが、同じく戦車を扱った作品として、フューリーと比べてどうなのか気になるところである。
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
OPPO BDP-103
・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
・音響(センターレス6.0ch)
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52
【BDレビュー】総まとめ
【BDレビュー】第309回『フューリー』
スポンサーリンク