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【レビュー】 BENCHMARK DAC2 HGC 音質編

 外観・機能編はコチラ


 内部のジャンパーを動かし、ゲインを落とした。
 それでも、ボリュームノブを最適とされる11時以上まで上げるというのはなかなか厳しいのだが、少なくとも今までよりは位置が上がっている。10時50分くらいには。
 というわけで、音質についてレビューしようと思う。


・Before
LINN MAJIK DS-I
↓RCA・プリアウト
Nmode X-PW10

・After
LINN MAJIK DS-I
↓同軸デジタル
DAC2 HGC
↓XLR・プリアウト
Nmode X-PW10


・DAC/プリアンプとして

 プリアンプを別に噛ませず、DAC2 HGCから直にパワーアンプに繋いでいるせいか、とてつもない音の鮮度である。
 清廉・清冽を地で行くNmodeとの組み合わせも相まって、非常に透明感のある、引き締まった音だ。オーディオにある種の柔らかさとか、腹に響く低音の量感とか、そういったものを求める向きとは合いそうにない。
 また、極めてスピード感のある音だ。自分で書いておいて「スピード感のある音って何だ???」と思わなくもないが、とにかくそうとしか言いようがない。今まで聴いていた曲が別物のように聴こえる。余計な響きや歪みが取り去られた結果だろうか、リズムが明らかに早くなったように感じるのだ。落ち着いた感じの曲ではさほど変化を感じないが、情報量の多い、込み入った曲になると変化は歴然である。
 はたして私が欲しいのはこういう音かと言われると、もう少し滑らかな音がいいとも思うのだが、この鮮烈な音、エネルギーに満ちた音には大きな魅力がある。

 MAJIK DS-Iからの解像度の向上は著しく、微小音、それも特に打楽器や管楽器などの「急峻な立ち上がりが必要」な音の再現性が非常に高まった結果、耳に聴こえる情報量は激増した。耳を澄ませる必要もなく、今までは意識していなかった大量の音が自然と聴こえてくる。

 空間も大きく広がった。
 とはいえ、MAJIK DS-Iに比べると、上下左右への空間拡大は限定的。特筆すべきはむしろ、奥行き(前後)方向への展開である。
 先に述べたように、情報量は大幅に増した。その増えた分の音は決して飽和することなく、広くなった奥行きの中に散りばめられている。DAC2 HGCを入れたことで、今までは奥行き方向のイメージが限定的だったことに気付かされた。それなりに長い期間オーディオをやっているが、自分のシステムでここまでの奥行き表現が聴ける日が来るとは……実に喜ばしい。
 YesのRoundaboutなど、元から空間表現に優れた音源を再生した際の相乗効果はすさまじく、かつてない立体感と精緻な空間表現を味わうことができた。

 ただし、高品質な音源とイマイチな音源の差はさらに広がってしまった感がある。DAC2 HGCは特にアップサンプリングの類をしていないし、「良いものは良く、駄目な駄目なまんま」、あくまで厳格に出力するようだ。
 DAC2 HGCはイマイチな音源に対して冷酷な一面を見せる一方で、今までは特別高品質と思わなかったハイレゾ音源で急に輝くものが現れた。Natalie Merchant / Tigerlilyあたりが最たる例だ。MAJIK DS-Iでは良さを出し切れなかったのか、と今になって思う。



・ヘッドホンアンプとして

 手持ちのK701を久々に繋いで聴いてみた。
 ちなみDAC2 HGCにはヘッドホン端子が二つあるが、左側の端子に挿すとスピーカー出力が自動的にミュートになる。右側に挿すとそのまま。
 あらかじめ言っておくと、久しぶりのヘッドホンということもあり、ヘッドホンの音を表現する言葉がほとんど抜け落ちてしまっている。昔、というより私のオーディオの始まりはヘッドホンで、K701かHD650で悩んだりヘッドホンアンプにP-1を入れて大喜びしたりしていたのだが、当時に比べると随分ヘッドホンに対する感度が落ちてしまったようだ。
 端的に言って、「良いのか悪いのかわからない」。強いて言えば「K701ってこんなに細かい/尖った音を出したっけか……」と思った程度。
 こんなことしか言えない私の耳は完全にスピーカーを聴く用に最適化されてしまったようだ。よって、真面目にヘッドホン道に邁進する方々に対していい加減なことを書きたくないので、ヘッドホンアンプとしての音質評価は差し控えたい。



・総評

 DAC2 HGCの音を構成するのは鮮烈さ、容赦のないストレートさ、誤魔化しのないダイレクトさ。
 そこに甘さはないし、DACとしてイマイチな音源を拾い上げる優しさも、心地よさの演出もない。そういったものをDAC2 HGCに求めてはいけない。
 DACにはひたすら基本性能の高さを求め、とにかくスピーカーの音をダイレクトに出したいという志向には合致するだろう。




【システムまとめ】

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