*

【BDレビュー】 第185回『インセプション』

公開日: : 最終更新日:2013/12/15 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

ベスト高画質賞にインセプション

それはない。
絶対にない。
思いがけず視聴記を書く気になった。


画質:8 音質:10


映像はVC-1、音声はDTS-HDMAの24bit

画質について。
このご時世でも頑なにフィルム撮影にこだわる監督らしく、インセプションも当然のようにフィルム撮影である。
フィルム撮影というとどうしても絶対的な解像感や情報量では昨今のデジタル撮影のそれに及ばないため、フィルム独特のたおやかさや空気感、清廉さでもって高画質を狙うのだが、インセプションの場合はどうもそうではないらしい。色彩はかなり濃い目、シャープネスも強めにかかっており、あくまでフィルム撮影のままで昨今のデジタル撮影のような濃厚濃密な画を目指したように思える。
しかし、案の定その試みは失敗している。フィルム撮りの映画としてもそこまで情報量が豊富なわけでもなく、清廉なわけでもないので、全てにおいて中途半端な仕上がり。特に情報量不足は致命的であり、表情の妙味を表出しきれていない。とりあえず破綻するような場面は無く、基本的にはよく整えられた映像なので高画質と呼んでいい範疇には入るだろうが、先述のなんとかアワードで高画質賞を獲得するようなソフトではありえない。
監督の前作であるダークナイトのIMAXシークエンスの神がかり的な高画質という印象ばかりが先行し、なんとなく今作も高画質という印象が作られている感は否めない。前作の「IMAXと合成することを前提にした」非常にハイレベルなCGIに比べればインセプションのCGIは明らかにレベルが落ちているし、映像のキレ味がシャープと言うがそれもセブンに遠く及ばない。役者の表情をクローズアップした時など、精細感の差は歴然としている。さらに低ノイズでクリアーとか言っているが、それって単に情報量が少ないせいで相対的にSNがよく見えるというワーナーのソフトにありがちな特徴じゃないかと。
どうしてもフィルム撮りの映画に高画質賞をあげたいなら素直にセブンかプライベート・ライアンにあげるべきだった。むしろ、そもそも基本的にやる気のないワーナーにこんな賞を進呈するべきではない。評論家連中もいくら金を積まれているのか知らないが、インセプションをベスト高画質!!なんて言ったところで一般ユーザーは???だろう。
フィルムのデジタル化というポストプロセスが成熟した時代の、そこそこ良くできたソフトという評価で留めておけばよかったものを。
見どころ:
エレン・ペイジ全般

音質について。
現代のアクション映画として要点をまんべんなく抑えた素晴らしい出来。
DTS-HDMAの24bitという、一時期のワーナーを知る人間としては信じられない仕様が効いているのかは謎だが、硬く鋭い銃声、よく練られたマルチチャンネルの活用、時折打ち寄せる強烈な一撃など、隙のない音響効果で聴覚を楽しませてくれる。
バックに堂々と構えるハンス・ジマーの劇伴もなかなかに素晴らしいが、なにやら過剰気味に低音を響かせるので、環境によっては収拾がつかなくなるような気もする。
ちなみにダークナイトの地下道路でのカーチェイスや病院爆破といった、執念を感じるレベルの技巧的音響までは残念ながら味わえない。
聴きどころ:
夢レッスンその1で色々弾け飛ぶ場面
夢第一階層で突入から続く一連の場面



BDレビュー総まとめ

スポンサーリンク


関連記事

no image

【BDレビュー】 第116回『WALL.E』

画質:15☆ 音質:15 映像はAVC、ビットレートは高めで安定。 音声はDTS-HDM

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】D’Angelo / Black Messiah

・アーティスト / アルバムタイトル D'Angelo / Black Messiah

記事を読む

EPSON EH-LS10000でリファレンスBD+αを見る

EPSON EH-LS10000を見てきた EPSON EH-LS10000がやってきた EPS

記事を読む

【音響の火花】 鴉-KARAS-

 と、いうわけで【音響の火花】を始めようと思う。第1回なので、どう書くべきか、どんなデータが必要かも

記事を読む

【Dolby Atmos導入記】Transformers: Age of Extinction ― 世界初のアトモス収録ソフトを“普通に”聴いてみる

 ソフトがなければ何も始まらない。  世界初のDolby Atmos収録ソフト。  それ

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第4回『パイレーツ・オブ・カリビアン』・『パイレーツ・オブ・カリビアン2』

第四回はこれまた説明不要のビックタイトル、ディズニーの実写映画史上最高にヒットしているらしい海賊映画

記事を読む

ガルパン劇場版をDTS HEADPHONE:Xで聴く

【BDレビュー】第318回『ガールズ&パンツァー 劇場版』  ガルパン劇場版の音声はステレオ・

記事を読む

理想のオーディオ用PCを求めて ミュージックサーバー編

PCが本当の意味で「オーディオ機器」になる日 理想のオーディオ用PCを求めて ハード編 理想のオ

記事を読む

【音源管理の精髄】 ハイレゾ音源! ……でもちょっと待った 【ネットワークオーディオTips】

 12月18日にエヴァのハイレゾが出て、かつ色んな意味で期待通りだったので予定通り書くとしよう。

記事を読む

【インプレッション】DELA N1Z ― 音楽の座

DELA N1Z 来たる 運用編 サーバーソフト編 音質編 USB DAC接続機能を試したか

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

『オペラ座の怪人』のUHD BD

オペラ座の怪人 4K ULTRA HD&ブルーレイ(3枚組) 初回限定

【インプレッション】Playback Designs Merlot DAC 外観編

Playback Designs Merlot DAC - ナスペック

【菅江真澄紀行文・本編紹介】第一章「栗駒の心臓を御室に見る」

クラウドファンディングサービス「FAN AKITA」でプロジェクトを実

NetAudio vol.25で記事を執筆しました

 この手のおしらせはしばらく放置していたが、これからはマメにやっていこ

「FAN AKITA」のプロジェクトで目標金額を達成しました

小町ゆかりの地「真澄と歩く」出版プロジェクト - FAN AKITA

MQAのソフトウェアデコードって……

MQA Decoding Explained - Audio Stre

LUMINがRoon Readyになったような

 ん?  !?  常時起動の単体Roon Serv

3,000,000PVを達成しました

 言の葉の穴は2017年1月5日をもって3,000,000PV

canarino Fils × JCAT USBカードFEMTO

 canarino Filsの導入当初は、ちょいと思うところがあって、

TIDAL MASTERS with MQA

TIDAL MASTERS TIDAL is deliverin

Roon 1.3のプレビュー

Coming over the hill: the monstrous

言の葉の穴 2016-2017

 「言の葉の穴」読者の皆様、あけましておめでとうございます。  昨年

言の葉の穴 2016年のハイライト 創作・地元ネタ編

 もうすぐ終わるので振り返り。  オーディオだけではないのである。

言の葉の穴 2016年のハイライト オーディオ・ビジュアル編

「言の葉の穴」的2015年のAV関連ニュース10選  独断と

2016年の心残りその2 まだ見ぬOPPO Sonica DAC

OPPO Sonica DAC そして素晴らしいのは、この手の製

2016年の心残りその1 LUMIN、未だRoon Readyならず

Roon Ready、ネットワークオーディオ第五の矢  LU

2015年の心残りは2016年でどうなったのか

2015年の心残りその1 ESOTERIC N-05 紹介記事

【BDレビュー】第341回『帰ってきたヒトラー』

画質:8 音質:8 (評価の詳細についてはこの記事を参

シン・ゴジラのUHD BD

「シン・ゴジラ」が'17年3月22日BD/UHD BD化。初公開映像満

【BDレビュー】第340回『DOOM / ドゥーム』

画質:6.66 音質:13 (評価の詳細についてはこの

→もっと見る

PAGE TOP ↑