画質:8 音質:8


映像はVC-1、音声はドルビーTRUEHDの16bit

画質について。
80年代のフィルムのBD化としては上々の仕上がりでワーナーを褒めるに値する。余談だが、基本的にワーナーのソフトは粒状感を少なめにしてSNを高める路線なので、フィルムの作品の場合かえってすっきりと見通しの良い仕上がりになる場合が多い。近作では逆に情報量がスポイルされてしまうということも多々あるのだが……
画面全体に光が欠如するようなカットではさすがにノイズが散見されるが、画面のどこかにそれなりの光が介在するカットにおいてはフィルムらしいたおやかさと精細感が両立しており、絢爛な作品世界を満喫するに十分な画質となっている。
作品全体を通して特筆すべきは登場人物の表情のクローズアップ。感情の機微と魂の懊悩をありありと写し撮る、フィルムならではの画が楽しめる。

音質について。
製作された年代を反映してか、種種の楽曲が演奏されるシーンでも音響的にはフロント3ch主体であり、サラウンドは残響音程度の活用となっている。
『オペラ座の怪人』のような超多層的・立体的な音響は望むべくも無いが、DVDでは不可能であろう出音のストレスの無さに、BD化の恩恵をはっきりと見て取る……聞いて取ることができる。



BDレビュー総まとめ