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 ソフト出して!

 怒りのデスロードがDolby Atmos収録でテンション上がった次の瞬間、アベンジャーズAoUがただのDTS-HD Master Audio収録と知ってテンションが下がるこの悲しさ!


 BDの黎明期。
 SDからHD、画質の著しい進歩とともに、音声も著しい進歩を遂げた。
 リニアPCM、ドルビーTRUEHD、DTS-HD Master Audio。
 圧縮からロスレスへ。
 つまりクオリティ的に一線を越えて、「器としてこれ以上のものを用意する必要がない」状態となった。事実、UHD BDの音声仕様もBDと変わらない。

 はじめて聴いたリニアPCMのサラウンドはあまりにも素晴らしかった。
 だからこそ、圧縮音声しか入れずにBDを売った初期のワーナーやパラマウントには心の底から激怒した。Hなんとかとの兼ね合いなど知ったこっちゃない。
 しかし、BD全体で見れば、ロスレス音声を収録したソフトが大多数を占めていたのも事実である。最初期こそリニアPCMを収録するソフトも多かったが、やがてドルビーTRUEHDとDTS-HD Master Audioでの収録が支配的となった。ソフトは潤沢にあった。HDMI経由でロスレス音声を聴くために、AVアンプを買い替えた。買うに値する理由が大いにあった。

 それに引き換え、Dolby AtmosやDTS:Xの体たらくは情けないの一言。
 「準備中」ということを発表しただけで盛大な肩透かしを食らわせたDTS:Xはともかく、Dolby Atmos収録のソフトだって一向に増えやしない。もちろん製作サイドからすれば色々な理由があるのだろうが、ユーザーからすれば「待てど暮らせどソフトが増えない」という状況に変わりはない。
 Dolby AtmosやDTS:X対応云々関係なく、純粋にクオリティアップを目指してAVアンプを買い替えるのはいつだって大ありだ。
 これからホームシアターを始める人は幸いだ。はじめからDolby AtmosやDTS:Xのためのスピーカーセットアップを考慮に入れられる。
 ただ、既にマルチチャンネルを組んでいて、しかもそのクオリティに満足している人間が、現時点で「Dolby AtmosやDTS:XのためだけにAVアンプを買い換えるか」と言われれば……

 Dolby Atmosには間違いなく効果がある。
 内容を見て、映画館で実際に体験して、それは確信している。きっとDTS:Xも素晴らしいのだろう。
 だからこそ、映画館で素晴らしいアトモス効果を体感した作品のソフトにイマーシブ・オーディオ(なんかこの呼び方しっくりこない)が収録されないのは悲しい。悲しすぎる。
 期待する作品のソフトの音声仕様でがっかり、こんな悲しみはBDの初期以来だ。

 もしかして、本当にUHD BDにしか収録しないつもりなんだろうか。
 BDとの差別化のために。

 あとDTS:Xは時期も時期だし、実質的にUHD BDとの同時リリースな気がする。
 その時にはせめて収録ソフトが潤沢に供給されることを願う。



【オブジェクトベースシアターへの道】 まとめ