画質:15 音質:15


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit

画質について。
おかえりIMAX。
HDなんとかのごたごたを引き継いだやる気の無さによりどこか煮え切らなさを感じさせつつ、史上初めて劇映画に使用されたというIMAXフィルムの恐るべきポテンシャルを見せつけた前作・ダークナイトから4年。
改心した(気がする)ワーナーにより、ようやく盤石の仕様でのリリースとなった。
あいかわらず、笑ってしまうほどに高精細極まるIMAXシークエンスの威力は健在。くわえて、前作からIMAXのシーンも大幅に増えており、眼福の度合いも著しく上昇。100インチのサイズにもまったくもって不足無し。
おそらくHD以上の解像度で撮ったデジタル撮影の映画よりも、画面の情報量は上をいくだろう。さらに言えば、IMAXの画はなんというか「最も現実に近い」見え方をする気がする。恐ろしいほどの情報量と精細感を持っているからこそ、ピントが合っている部分とそうでない部分のコントラストが引き立つというかなんというか……、写真の領域になるとさっぱり分からないのだが、とにかく自然なのである。
情報量と精細感が増した結果、前作に比べればクリスピーな画になってS/N的には後退していることは事実だが、画面全体から溢れ出す視覚情報はもはや4K撮影の映画を完全に凌駕している。
もちろん、IMAXのシーンと通常のフィルム撮影のシーンでの歴然たる画質差は存在する。むしろ前作よりも両者の差は大きくなっている気がする。ただし、この場合IMAX側の伸びが著しいからであり、実は通常のフィルム撮影のシーンもだいぶ高画質になっている。
映像的にも前作に比べてさらに多彩になっており、光と闇のコントラストはさらに強靭に、色彩のバリエーションも増している。
そして何より素晴らしいのが、今度こそそして、そういった作品のポテンシャルが十全にソフトに収められているいうことだろう。
見どころ:
IMAXシークエンスのすべて
影の同盟対警官隊
三部作における真のヒロイン・アルフレッドの最後の表情

音質について。
ひたすら重く激しい音響。
凄まじいうねりと迫力を持ちつつも、もっぱらそのダイナミズムは低音域に集中しており、再生システムに対する要求は非常に厳しいものがあるだろう。ただ低音の量だけをボンボン出す、量感だけのシステムではロクなことにならない気がする。
しかし、その強靭なエネルギーを活かし切ることができれば、どこまでも重く激しく、深く重なり合う音の鼓動を全身に浴びることができるだろう。
前作ダークナイトの音はジョーカーの音だった。不愉快で不快な、されど酷薄なまでに調律され完璧に構築された音。その最たるものがトンネル内での銃撃音と、病院の爆破シーンだった。
今作では、前作ほどの構築美は見られないものの、それを帳消しにして余りあるほどのエネルギーが満ち溢れている。ベインの音、肉体と精神の音。それはすなわちバットマンの音でもある。シンプルに、豪快に、大胆に、猛々しく、劇伴が効果音的な立ち位置も兼ねて吼えまくる。その劇伴のうえに、さらに重く激しい戦闘が展開し、唸りを上げるメカが地上狭しと疾走する。
効果音の出来も相変わらず素晴らしい。銃声をひとつとっても、下手なシューテムアップ映画が裸足で逃げ出すような構築力と威力である。
奈落から涌き上がる叫びに身を委ね、混沌から這い出る時がきたのだ。
聴きどころ:
「登れ」
劇伴全般
ラストに到る一連の展開



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