画質:8(6~10) 音質:9
映像はAVC、音声はドルビーTRUEHDの16bit
画質について。
この映画には二つの舞台がある。
“家”・“川”がそうだ。
人為の介在する生活空間、町、家、それらが映る場面の画質は非常によろしくない。92年という制作年代を考えると妙にノイジーなうえに、暗部は緑に濁りさえする。家の中の人物がクローズアップされる際もどこかピントが合っていないような画が多く、とても高画質とは言いがたい。
一方、川、広義にを映す場面になると印象は一変する。ディティールと色彩は滴るようで、日の光まで見えるかのような素晴らしい透明感に満ちている。川の流れの表情、水面に輝く光は見事としか言いようが無い。釣り人をクローズアップしたカットにおいても、実に芳醇な情報量でもって表情を写し撮っている。
最初は単にフィルム撮影にとっての得意不得意が画質に表れただけかなーと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。全編を見終わって、やはり人為の介在する場面はあえて汚く、川の流れる場面はあえて美しく撮ったようにしか思えない。両者の中間にある“教会”の場面が、家とも川とも違う雰囲気の画になっているというのもまた面白い。
音質について。
別に鉄砲が火を吹くわけでも、何か爆発するわけでもないが、音楽を含めて非常に音が印象に残る作品である。
効果音のひとつひとつ――静寂の満ちる部屋で椅子のきしむ音、釣り糸が空を切る音、そして何より川のせせらぎなど、派手さはないものの巧妙かつ老獪。そして実はしっかりサラウンドしている。
エンドロールによれば音響を担当したのはスカイウォーカーサウンドだそうな。
なるほど納得。
お見事。
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【BDレビュー】 第163回『A River Runs Through It』
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