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【音展2014】個人的ハイライト① アイ・オー・データのオーディオNAS参入

<音展>アイ・オー、“ハイレゾのため究極設計”のオーディオNAS参考出展 - 20万円以下予定


 非常に重要なニュースである。
 注目したのはこんなところ。



○“高音質NAS”というジャンルにおける選択肢が増える

 なんにせよ選択肢が増えるのは良いことだ。
 特に10万円台はにわかに面白いことになってきた。
 DELA HA-N1AやQNAP HS-251はもちろん、カスタマイズPCショップでファンレスのサーバー用PCだって組める。ついでにLUMIN L1もある。アレはまだNASとは言えないが。
 “高音質”という呼び文句に我ながらいささか問題を感じなくはないが、ネットワークオーディオという領域においていかにNAS――サーバーが重要であるか、その認識が広まるに越したことはない。


○理想に忠実なハードウェア

 ネットワークオーディオにおいて、あらゆるコントロールはネットワーク経由で行う。よって、プレーヤーにも、もちろんサーバーにも、操作ボタンやディスプレイは必要ない。海外の超弩級/高級音楽サーバーにありがちなでかいカラー液晶やリッピング用ディスクドライブなどもってのほかである。そんなものはあるだけ無用の長物に過ぎない。
 無論、これは単なる理想であることも承知している。この手の理想を突き詰めると、「イマイチよくわかっていない人を完全に切り捨てる」ということに直結する。ゆえにDELAは上位機種であってもディスプレイと操作ボタンを備え、本体だけで基本的な運用を可能として間口の拡大を図っている。それはそれで立派な姿勢である。LUMIN L1は一切の操作ボタンを有しない代わりに、“実はNASではない”という斜め上の解決策を提示してわかりやすさを訴求している。
 その点、アイ・オーのオーディオNASは非常にストイックなハードウェアのようだ。正攻法で真正面から作り込んだ筐体やインシュレーターへの配慮は、まさに正統的オーディオマインドに基づくもの。この価格帯では最強に見える。そして余計なディスプレイも操作ボタンも一切なし。ステータスインジケーターのみという点ではQNAP製品も似たようなものだが、QNAP製品のモノとしての作りはあくまでPC周辺機器の域を出ないため、厳密な比較の対象にはならない。これだけ徹底的に理想に準じたサーバーはZigsowのZSS-1以来ではなかろうか。
 選択肢を増やすという意味でも、SSD搭載モデルも欲しいところだ。


○中身のサーバーソフトを明記している

 当たり前のことではあるが、それすらできていない製品のなんと多いことか。DELAは実によい先鞭をつけてくれた。
 TwonkyServerのバージョン7。DSD対応ということは要するに最新版ということだろう。ソフトのバージョンまで含めて明示したのはアイ・オーが初めてではなかろうか?
 私もなんだかんだ言ってTwonkyServerが一番使いやすいと思うので、この選択は歓迎したい。


○アイ・オー・データというメーカーの本気度

 何よりうれしいのは、ひと目見るだけでこの製品が「なんか最近流行ってるから便乗で出した」ようなものではなく、相当の意気込みでもって作られているのが分かるということだ。実際に音展会場でメーカー担当者に話を聞くことができたが、ネットワークオーディオについて実によく勉強されていた。いつも業界の不勉強ぶりに呆れるばかりなので、不覚ながら少々感動してしまった。
 オーディオ製品的な魅力とサーバーとしての要点がきちんと抑えられており、どちらかがおろそかになっているということもない。上でも書いたが、力の入った製品が登場することはとても喜ばしい。


○はじめからオーディオを向いた、しかもメーカーによる製品であるということ

 少々言い方はアレだが、つい最近まで、“高音質NAS”という領域は言い知れぬ不安に満ちていた。TS-119やRockDisk Nextといった製品は、音質的に高評価を受けていたとはいえ、そもそもオーディオ用途の製品ではなかった。あくまで、通常のNASを業界が高音質と言ってありがたがっていたに過ぎない。PCカスタマイズショップ等で一品物のサーバーを組む、あるいはRipNAS StatementやZigsow ZSS-1といった製品を購入するという方法もあるにはあったが、兎にも角にも情報が少なすぎたし、何より高すぎた。
 その意味で、BUFFALOのDELAが果たした役割は大きい。きちんとした(こう言うと色々と語弊があるが)メーカーが、はじめからオーディオを主目的として、真正面から高音質NASを作る。しかもその方法論は極めて正統的なオーディオマインドに溢れている。登場時点では大いにツッコミどころがあるなとは思いつつ、これでネットワークオーディオという領域に新風が吹き込まれるだろうとの思いも大いにあった。
 そして、今回のアイ・オー・データの製品である。これで、一年足らずで国内の二大(と勝手に思っている)PC周辺機器メーカーから、オーディオ用の高音質NASが登場したことになる。
 実に良いことだ。この領域は決して出しておしまいではないので、サポートも含め、これから大いに切磋琢磨していってほしい。


 ネットワークオーディオにも少しばかり風が吹いてきたかな?

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