それなりに真面目に考えてみる。
 商売云々を度外視した理想論であることは承知している。
 あくまでいちオーディオファンとしての希望である。

 ちなみに、“誰に”普及させるかという問題があるが、これは現役オーディオファンよりも、むしろオーディオとはあまり接点のない層を想定している。



・出し惜しみしない

 どちらかといえばこれはオーディオ業界というよりも音楽業界の問題だが。
 新作でハイレゾのマスターがあるのに、CDしか出さない。
 同じことをBDとDVDでやってみればいい。ユーザーはどう感じると思う?



・CD/従来の音源との比較を恐れない

 業界は声高に「ハイレゾは高音質」と謳っているが、スペック的に上位下位の関係にあるCDと比べた時、本当に「高音質」を感じられる音源がいったいどれだけあるのか。
 そんなに自信があるなら同一音源のCDとハイレゾを比較してもらって、音の良さを認めてもらえばいい。オーディオを名乗る以上、比較から逃げてはいけない。ハイレゾ音源を買えばCD相当の音源も付属させるなどすればどうか。
 違いが分からない、あるいは価値を見出せるだけの違いがないのだとしたら、ハイレゾなんて所詮その程度のものだということだ。
 逃げるな。誤魔化すな。真っ向から勝負しろ。



・再生環境の重要性をきちんと伝える

 どれだけ優れた音源を用意したところで、最終的に出力される音は、それを再生するプレーヤー/DAC、アンプ、スピーカー/ヘッドホンで決まる。
 「ハイレゾ音源を聴く」という行為は、それ自体では高音質を保証しない。
 



・CD/従来の音源からコレクション性を落とさない

 CDを買えばアルバムアートが手に入るし、ブックレットも楽しめる。
 ハイレゾ音源はCDより高いのに、多くの場合ブックレットのデータは付属しない。アルバムアートすら付属しないこともある。
 権利関係の問題でブックレットは難しいのかもしれないが、せめて高解像度のアルバムアートは付属してほしい。コレクションする楽しみ、目で見る楽しみを奪わないでほしい。



・ユーザーに無駄な手間をかけさせない

 いい加減タグの付け方くらい覚えたらどうだ。



・ぼったくらない

 価値を認めさえすれば、CDと比べて多少高かろうが気にならない。BDがDVDよりも高いように。
 が、さすがに限度というものがあるでしょう。



・本来無関係な領域でハイレゾという言葉を乱用しない

 無秩序な乱用は言葉の価値を著しく下げるだけで百害あって一利なし。
 「ハイレゾ対応」のシールを貼ったところで音は良くならない。



★ハイレゾを普及させることそれ自体を目的にしない

 そもそも普及させたいのは「オーディオ」という趣味であって、「ハイレゾ」ではないはず。

 ハイレゾはオーディオの可能性を広げたが、ハイレゾを聴くためにオーディオをやっているのではない。

 「オーディオ」という趣味が広まれば、「いい音で聴けばもっと楽しい」という経験を広く提供することが出来れば、ハイレゾ音源は”いい音”を得るためのひとつの手段として、緩やかに普及していくと信じている。



 音の良さを謳うSACDとDVDオーディオは失敗した。
 結局のところ、地道に真面目に誠実にやっていくしかない。