【レビュー】逢瀬 WATERFALL Power 400 外観編


 使用中は結構な発熱がある。
 同じデジタルアンプ、それもアナログ電源を積んだNmode X-PM7よりも発熱は相当にでかい。触れなくなるほどではないが……

 そしてフロントパネルのLEDがビカビカと光る。


 ひとまず、純粋に聴き慣れた環境でNmode X-PM7と比較すべく、LUMIN A1のデジタルボリュームを使って直結した。
 この時点で、無音時の残留ノイズはX-PM7(Lモード)よりも小さく、非常に抑えられている。

 はてさてどんな音がするものかと思い曲を再生した途端、背景に強烈なサーノイズが流れた。
 何じゃこりゃと思い、再生を止めるとノイズも消える。
 再生する。ノイズ出る。
 止める。消える。
 ……
 …


 とりあえずLUMIN A1のオマケ程度のデジタルボリュームを使ってパワーアンプに直結するなんて手抜き……もといイレギュラーなケースは忘れて、逢瀬DACをDACプリとして使う。
 こちらでは曲を再生してもノイズは出ない。さっきは悪い夢でも見たのだろうか。

 で、音。

 クリアでパワフル。確かにそうだ。
 X-PM7と比べて明らかに低音は伸びているし、量も出ている。ベースラインの輪郭も混濁せずに明瞭さを維持する。
 少なくともSapphireに対して駆動力不足という感じは受けない。

 ……ただ、それ以上の印象がない。
 出てくる音があまりにも素っ気なくて、聴いていて面食らった。
 アンプとして、「スピーカーを鳴らす機械」として高性能であることは明らかだ。Sapphireをしっかりと駆動し、上から下まで滲みなく、明瞭な音を鳴らしている。悲しい環境に置かれたDynaudioにありがちな音離れの悪さとは無縁である。
 しかし淡々と高性能に徹した結果だろうか、出てくる音にまるで色彩、特徴といったものが感じられない。
 正直に言って、Sapphireからこれほどまでにモノクロームな音が出てきたのは初めての経験で、なんとも困り果ててしまった。

 DACプリとパワーという、最も「逢瀬の音」を表出する組み合わせがこの音となると、はたしてDAC単体で得た「生気みなぎる音」という印象は何だったのかとも思ってしまう。Nmodeとの組み合わせが神懸かり的に巧くいったのだろうか。

 結局のところ、本機は私には合わなかった。
 音楽を聴くという行為に求めているものが違った、としか言いようがない。
 陰気なDynaudioをNmodeが持ち前のスピード感で蹴っ飛ばして陽の下で輝かせる、その組み合わせの妙を崩すには至らなかった。

 繰り返すが、Dynaudio Sapphireを精確に駆動しており、WATERFALL Power 400のアンプとしての性能に疑いはない。低音は明瞭さと量感が両立し、残留ノイズも気にならないレベルに抑えられている。より冷静かつ客観的に音楽に向き合おうと思えば、おおよそ色付け呼べるものを持たない、本機の超然とした高性能こそが好適だろう。



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