スーパーマンって人(型宇宙人)を殴っていいんだ……


画質:12 音質:13


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの7.1ch

画質について。
ザック・スナイダーの画。
300の画やウォッチメンの画を彷彿とさせる、焼け付くような熱さと切れるような鋭利さを併せ持つ、硬質にして重厚な画。ただし、それらよりもかなり明るく、健康的な画である。
クラーク・ケントの健やかな成長を描くためには、さすがにウォッチメンのような毒々しい画では相応しくなかったのだろう。エンジェル・ウォーズ? そんなものは知らん。
情報量みなぎる、というよりはトータルの完成度に優れており、画をポストエフェクトでいじりまくったうえにグレインをしっかり利かせつつもノイジーに転ばない、デジタル時代のフィルム撮影映画の完成形と言えよう。
エフェクトほとばしるSFなシーンよりも、幼少期のアメリカの原風景の方が遥かに絵画的であり、印象に残る。
マン・オブ・スティールもそうだが、4K時代を間近に控え、撮影機材からオーサリングまで、一連の工程が高品位なBDを作るうえで十分すぎるほどに成熟したように思う。
見どころ:
幼少期の原風景
メトロポリス大破壊

音質について。
しょっぱなから重く、激しく、朗々と鳴り響くBGMが鮮烈な印象を残す。効果音も重厚なBGMに負けじと轟々と咆え猛るうえ、7.1chも十全に駆使して空間表現も実に達者。総じてパワフル、かつ非常によく出来た映画音響を満喫できる。
最近レビューして最高評点を付けたパシフィック・リムに勝るとも劣らない素晴らしい音で、“シューテムアップ映画ではないアクション映画”の音はかくあるべきという理想を聴かせてくれる。
全編通して爆発、爆発、大爆発。A-10による爆撃から重力兵器による高層ビル群の圧壊、なんだかよくわからないエネルギーの炸裂まで、とにかくこれでもかと爆発する。とりあえず爆発する。楽しすぎる。
ただ、これらの爆砕に加え、人智を越えた人型同士の殴り合いを加えてもなお、サウンドの主役はあくまで劇伴にある。
この映画における音響的ハイライトは、意外にも数多くの凄まじい戦闘シーンではなく、ずばり初飛行のシーンである。
血沸き肉踊るとは、きっとこういうものを言うのだろう。
聴きどころ:
初飛行
女副官と大男との大立ち回り
メトロポリスでの死闘



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