画質:10 音質:6


映像はAVC、音声はDTS-HDMA・24bit

画質について。
冒頭の星条旗の素晴らしい色キレと解像感にまず感動。パットンの老獪な表情の活写とあいまって、これから始まる絢爛たる絵巻を期待させるに十分なものだった。
カメラを愛する某友人によれば、パットンは70㎜フィルム撮影の作品だそうだ。
なるほど確かに、70年代撮影の映画とは思えないような豊潤な情報量に裏打ちされた、実にしなやかな画が安定して続く。似たような70㎜フィルム作品のリマスターとしてサウンドオブミュージックが挙げられるが、そちらが情報量志向かつ積極的にグレインを出す方向だったのに対して、パットンは硬派な内容とは裏腹に、ともすればたおやかと表するほどに繊細志向の映像である。
基本的にフォックスの旧作のBD化における姿勢はなるべくグレインを取り除いてSN感を上げるという路線であり、パットンのBD化における映像志向もその路線とおおむね合致している。そんな中でパットンの画が一際輝かせているもの、それはやはり70㎜フィルムに写し取られた宝石のごとき情報量と色彩に他ならない。
どちらか一方が優れているというわけではないものの、やはり昨今のデジタル撮影の映画では絶対に見られない精巧な空気感、人物と室内における“あの”立体感、ゆっくりと移ろう風景の絶品ぶり。
私にはそこかしこで用いられる“フィルムライク”という言葉が一体どんな画を指すのかいまいち理解できないが、パットンは“善きフィルム映画の画”として激賞するに値する。
見どころ:
室内全般
「私もここにいたのだ」

音質について。
映像の素晴らしさとは対照的に、音質はどうにもパッとしない。
全体的にスピーカーの奥側にべっちょりと張り付いて平面的な音であり、なにより声に活気が無いのがあまりにも痛い。パットンのアス・キッキングな言行の数々もいまいち力を持って響かない。
戦争を扱った大作ということで、当然のように戦闘シーンもある。今見ると緊張感に欠ける戦車戦は作品における音響的ハイライトなのだが、ここでも平面的かつ奥まった印象は変わらず、サラウンドミックスもそれほど威力を発揮しているとは思えなかった。
聴きどころ:
演説



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