記念すべき第50回にふさわしいこのタイトルをずっと待っていました。


新海作品が次世代ディスクで見られるッ!
なんたる幸福よッ!!



それにしても、新海作品の主人公はどいつもこいつも真正喪男のあたしからすれば忌々しいくらいのいい男ですね。



『雲の向こう、約束の場所』

画質:9 音質:8

映像はAVCでビットレートは20台を中心に推移。一層のためか、意外と低い。
音声はリニアPCM5.1chで4.6Mbps。

画質について。
オゥフ、これが新海作品の次世代ディスクにおける姿か……ッ!
素直に見惚れる素晴らしい画質です。
DVDでは絶対に不可能だった、デジタル製作のアニメの“バンディングの無い紺碧の空”が見られるのは感動的です。ベールを一枚も二枚も剥がしたような鮮烈にして透徹した空気感。新海誠の世界観を余すことなく描きます。
とはいえ、足りない。
ごくわずかにバンディングが見られます。とあるシーンはノイズが吹き出しています。
そして一層ディスクのためか、ビットレートはさして高くありません。動きのないシークエンスでは10Mbps台にしかなりません。30Mbps台にはあまり乗りません。
もっともっと、もっともっと上を目指せるはずです。
感動的な画質ではありますが、まだまだ上限ではありません。
画質評価10をあげるにはまだ早い!
3年後くらいに再びリリースを!!

音質について。
DVDに比べて随分よくなってます。
DVDの音響は無闇に冷たく堅苦しい音でしたが、BDの音は随分と品位のある透明な音になっています。
決して派手派手な映画ではないので音響効果も最低限ですが、鳴らす場面ではしっかり鳴らしてくれます。



『秒速5センチメートル』

画質:10 音質:6

映像はAVCでビットレートは両極端。動かないと10Mbps台、動くと30~40Mbps台にも跳ね上がる。
音声はリニアPCM4.0chで3.1Mbps。珍しい方式。

画質について。
雲の向こう、約束の場所がいかにもデジタルアニメ然としたくっきりはっきり志向なのに対し、こちらはしっとりしっぽり志向の画作りです。
キャラの作画については描線をかすれさせる面白い手法を用いているのですが、そのことをきちんと認識できるくらいに細部の情報量もしっかり出ています。
っつってもスチームボーイやイノセンスといったアニメ作品とは異なり、圧倒的な情報量でもって畳み掛ける類の作品ではないので、おそらく最も肝要なのは“色”ということになるかと思います。
で、その肝心な色なのですが、もうほんっと素晴らしいですね。薄汚れた現実世界を見続けて疲弊した瞳に与える視覚の御馳走です。
バンディングは皆無……だと思うんですが、あいにく新海作品の美術は時としてグラデーションを意図的に飛ばすことがあるので、はたしてバンディングなのか意図的なものなのかが少々分かりにくいことがあります。もっとも、そんなものはもはや気にならないくらいの鮮烈な色彩に酔えます。DVDとは色の深みと鮮度が違います。まさにうちのブラビアの本領発揮です。
が、しかし。
何かが足りない。破綻無く仕上げられているけれど、スチームボーイが見せたような圧倒的なまでの画面の力には何かが足りない。
雲の向こう、約束の場所と同じく、素材は唯一無二の次元に既にあるのだから、もっともっと上を目指せるはず!
3年後、再び会おう!!

音質について。
リニアPCM4.0chっつーから、環境音とかBGMでサラウンドありありな予想をしてたけど、別にそんなことはなかったぜ!
音が善い悪いの前に、そもそも音が少なすぎ。
そもそもそんな音にまみれた作品じゃねーっつわれたらおしまいですが、もうちょっとなんとかなんなかったのかな。
正直言ってサラウンドチャンネルが仕事をしていた気がまるでしない。
最後の最後、突如としてとある歌のミュージックビデオと化す場面でも音が弱いのは相変わらず。
もうちょっとなんとかなんなかったのかな。






と、ゆーわけで、ついにこの視聴記も50回を数えました。
御気楽BD視聴記・序が去年の9月14日ですので、7か月かかって50回に到達したことになります。
ペースとしてはこんなもんですかね、持ってるソフトの数もありますし。

今後も、いろいろ、夢がひろがりんぐ。



BDレビュー総まとめ