日本での発売が頓挫してから何の音沙汰も無いのであきらめて輸入


画質:9 音質:14


映像はMPEG2、音声はリニアPCMの16bit
なんとも懐かしい黎明期におけるSPE仕様である

画質について。
良くも悪くも非常に玄人好みの画。
フィルム撮影最末期時代のこねくり回した画調であり、その毒々しさといじり具合はファイトクラブさえ凌駕している。これが戦争だ! と言わんばかりに燃えるディティール、歪む色彩、焼け付く光沢、切れ上がるピークなど、全編を通じて視覚に強烈なイメージを残し続ける。最近のデジタル撮影の映画にもまったく引けを取らないほどに豊富な情報量と見事な解像感を備え、千切れて飛んだアレやら、裂けて溢れたソレやら、容赦なく眼に叩きつけてくる。
過剰なほどのフィルムグレインは顔に鉄に空に炎に煙に終始甚大な粒状感を付与するが、BD最初期のMPEG2圧縮ということもあってかどうやら作品本来のグレイン以外の圧縮ノイズも所々にざわめいているようである。また、夜間のカットなど著しく甘くなる場面も散見される。
作品を通じて画質の安定感は皆無であり、画質の良し悪しも乱高下するため、点数的には6をつけようとも思ったが、最終的には映像の持つ強靭なエネルギーと粗挽きなソフト化、そして何より己の感性もといノリと勢いをもって9とした。
いずれ映像はリマスターされるような気がしないでもない。リドリーはそういうの好きだし。
見どころ:
手首



音質について。
Oh…
このソフトを発売当初、BD黎明期に手に入れていたら、この視聴記における音質評価のハードルが相当上がっていたかもしれない……
・銃によって銃声が違う(あたりまえ)
・銃声と着弾の位置関係が明確に見える
・マルチチャンネルの徹底的な活用
などなど、銃を音響のメインに据えた映画として要点を完璧に抑え、なおかつ押し潰されるかのようなテンションのまま2時間戦闘描写がぶっ続けである。銃弾一発一発のダイナミクスは想像していたほどではないが、冷酷なまでの音の精緻さという点ではかのプライベート・ライアンと肩を並べる次元にある。銃弾と銃声の槍衾に放り込まれ蜂の巣にされ色々とぶちまけながら目には見えない血を流す体験。
“なぜわざわざスピーカーを何本も、しかも後ろになんか置く必要があるのか”という疑問に対して一番手っ取り早く、かつ明快に回答を用意してくれる類の作品である。
右前方から撃たれた銃弾が鼻先を掠めて左後方に着弾する、そんな様を味わうともう後には引けなくなるんだよ!
聴きどころ:
すべて



BDレビュー総まとめ