画質:15 音質:10


映像はAVC、音声はドルビーTRUEHDの24bit。

画質について。
パーフェクト。
目の醒めるような高画質と、エンコードにおける完璧さが同居する、実写映画としての到達点足り得る素晴らしい画質である。
現状で他に実写映画で画質評価15をつけているのはアイ・ロボットと慰めの報酬の二作品だが、ウォッチメンの画作りはそのどちらとも違う。アイ・ロボットのようなエネルギーみなぎる超重厚画質でもなければ、慰めの報酬のような粒状感ごりごりの超精細感志向でもない。むしろ調律の上に調律を重ねた、恐ろしく精緻な画である。他の二作品の色調自体はあくまである程度日常的に目にする世界に準じているが、ウォッチメンの色調はそもそも完全に、人工的に加工されている。終末を目前に控え陰鬱に沈んだ世界である。ここまで完全に加工しきった色調を一切の破綻なくエンコードした手腕は絶賛されるべきである。
絶対的な比較では情報量それ自体は他の二作品ほど多くは無いものの、作品の殆どを占める闇の中においてもディティールは冴え渡り、あまり出しゃばらない粒状感はむしろ画面に素晴らしい透明感を与えている。暗がりにあっての精細感、立体感、SN感は史上最高である。劇場では見えなかったディティールが見える見える。

音質について。
同じ監督の作品である300の豪放一直線の音響から打って変わって、ウォッチメンの音響は映像と同じく非常に精緻なものであり、派手さよりもむしろ抑制の上に抑制の効いた音である。あくまで映像の引き立て役に徹しており、音響それ自体も主役を張るような場面はあまり無いが、音数は非常に多く、効果音ひとつひとつが生き生きとしているし、マルチチャンネル/サラウンドの構築も素晴らしい。抑制されていた音響が一気に弾けるシーンでのカタルシスはなかなかのものがあるが、個人的にはもっともっと大暴れしても善かったように思う。
声の質感は特筆されるべきである。ロールシャッハ的な意味で。
ちなみに少々収録音量が低いようなので、普段のボリューム+3あたりで見るといいかもしれない。



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