ほわーんほわーんほわーん


画質:7 音質:10☆


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの16bit。FOXにしては珍しい。

画質について。
66年公開の作品としては望外の高画質であろう。
最後のスタッフロールを見る限り、マスターには2003年のリマスター版を用いているようだ。無論、今回のBD化に際してさらなるリストアはされているのだろうが。実際、リストアの有無とその効果の差は歴然である。FOXは相変わらず本気で仕事をする。たまに手を抜くけど。羊たちの沈黙とか。
なんにせよ、時代に起因する甘さは終始見られるものの、それを補ってあまりある力強さのみなぎる画である。暗部ノイズは年代を考えれば驚異的に押さえ込まれており、暗がりに潜む人間の黒い服の模様まで、つぶれることなくしっかりと見える。役者の顔のアップ時のディティール表出など見事なものである。作品を貫徹する乾いた質感、スカッッッとした青空、頻繁に登場するロングショットの冴えなど、近作の切れるような高画質とは別物だが、偉大な作品の空気感を現代に伝える見事な画質である。

音質について。
音響によって観客(つまり私自身)の心を震わせた時点で、曇っていようが、歪んでいようが、古臭かろうが、マルチチャンネルをちっとも活かしてなかろうが、高得点は確実だった。
変化に乏しい銃声、明瞭さの無いダイアローグ、高音の荒れたナローレンジのBGMなど、ひとつひとつの要素を冷静に分析すれば決して褒められたものではないのだが、とにかく聴いていて心が震えるのだ。いかにも古臭く少々緊張感に欠ける「バキュゥ~ン」という銃声でさえ、心を射抜くには十分すぎるのだ。
特に音楽! 音楽が主題の映画でもここまで心揺さぶられるのもそうはあるまい。「この楽曲を聴けェ!」とう製作者の魂の叫びが聞こえてきそうである。猛々しく、力強く、時にユーモラスに、本当に生き生きと曲が鳴る。鳴り響く。
サウンド・エフェクトについても聴き所は多い。橋を巡る砲打撃戦など、U-571にも通じる轟爆音の連鎖を聴かせる。地味なところでは足音なんかも非常に印象に残る。
心躍る音である。



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