ネットワークオーディオなんてものを実践して、TIDALやQobuzに価値を見出している以上、Netflixの価値は痛いほどよくわかる。
 しかも4KやらHDRやら、AVファンの心をくすぐる要素も目白押しときたもんだ。

 というわけで使ってみた。


 最初にイノセンスと言の葉の庭とスパルタカスを選んだら、おおむねそれっぽい作品がおすすめされてきた。
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 初期のおすすめ一覧の中に「Genius Party Beyond」が入っているあたり、「わかっている」という感じ。
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 ただ、この記事によればGenius Party Beyondは1080Pで配信されているはずなのだが、画質に関する表記はどこにもない。
 実際の配信品質はともかく、どうやらブラウザにはそもそも画質の表示がないようだ。

 どのみちPCのモニタで画質を云々言っても仕方がないので、PS4のNetflixを試す。
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 一応ネットワークの状況も。
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 さて、こちらには「HD」の表記がある。音声では「5.1」の表記もある。
 1080PのGenius Party Beyondも、720Pのマインド・ゲームも一律で「HD」という表記のようだ。それにしても酷い低評価だ。悲しい。
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 別に隠すことじゃなし、堂々と「1080P」「720P」と書いてほしいもんだが。

 実際に再生してみると、前評判のとおり、確かに「止まらずに」見られる。
 最初こそぎょっとするほどの低解像度で始まるが、それほど経たずに高解像度に切り替わっていく。
 

 ここからはクオリティ評。
 再生環境はこの記事を参照。また、今回プレーヤーにはNetflix・BDともにPS4を使用した。

 Genius Party Beyondでは、マッハバンドはそれなりに出ているものの気になるほどではなく、何よりDVDでは悲惨なほど溢れていた圧縮由来のノイズもさほど感じられなかった。ハイビジョンならではの精細感も十分あり、そもそもBD化されていない作品を高解像度で楽しめる喜びはとてつもなく大きい。
 同じ1080P枠のアニメとして「イノセンス」も見てみた。比較対象はアブソリュート・エディションのBDである。
 さすがにBDと比べると細部の情報量やノイズ感などで一歩劣るが、Netflixでも十分……というよりほとんどの人が満足するだろうレベルが実現されている。
 HD・実写枠として見た「ノーカントリー」でも、相当BDに迫る画質である。
 決して潤沢とは言えないビットレートでここまでの画が出せるとは。完全にディスク沼に浸かっていた私にとっていささか衝撃的な結果となった。

 さて、問題はここからだ。
 なぜ誰も音質に言及しない。


 イノセンスのBDはドルビーTRUEHDとDTS-HD Master Audioの6.1ch収録。
 ノーカントリーのBDはリニアPCMの5.1ch収録。
 どちらもいわゆるロスレス音声で、映像作品として非常に優れた音質を有している。

 Netflixの映像仕様は色々と情報が出ているが、音声仕様についてはさっぱりわからなかった。
 だから実際に試してみたのだ。

 で、結論。
 BDに比べて音は落ちる
 イノセンスもノーカントリーも、決してNetflixで配信される音が悪いわけでも、楽しめないわけでもない。むしろ、大多数の人にとっては配信でサラウンドが楽しめるだけでも大きな魅力となるだろう。
 しかし、BDより二段階ほど落ちる。Netflixの音声仕様の詳細については想像するしかないが、これが事実だ。


 やはり、少なくとも現時点では、私のような物好きにとって、NetflixはBDを置き換えるものではない。
 BD化されていない作品も高解像度で楽しめ、画質面では十分な品質を持っているにせよ、音質面で決定的な差がある以上、BDの価値が損なわれることはない。
 4K、HDRが本格的に普及するとなっても、この状況は当面変わらないはず。

 だから頑張ってよ、UHD BD。
 今ならまだ、十分存在する価値がある。