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【BDレビュー】 第235回『もののけ姫』

公開日: : 最終更新日:2013/12/15 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

ギルガメシュ叙事詩

画質:9☆ 音質:9

映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit(16bitリニアPCMステレオも)

画質について。
画に二種類あり。
ひとつ、セルで撮影した画。(以降、アナログ)
ふたつ、デジタルで撮影した画。(以降、デジタル)
アナログの部分に関して言えば、『耳をすませば』と同様、フィルム末期の素晴らしい出来栄え。『耳をすませば』や『紅の豚』といったジブリの高画質盤に比べると心なしか粒状感が強めだが、善い意味で容赦のない本作の作風とよく馴染んでおり、違和感はない。ユレもガタも皆無であり、フィルム作品のBD化としては極めて高品位である。
しかし、デジタルの部分に関しては、手慣れたアナログに対する成熟度の差が、画質面にも現れている。端的に言って、アナログに比べるとノイジーである。明らかにデジタルに起因するノイズが散見される。年代が近いこともあり、デジタルの画はどことなく『BLOOD THE LAST VAMPIRE』と似ている気もする。とはいうものの、デジタルだからこそ実現したテクスチャーなど、映像的・画質的に目を見張るような表現は数知れない。本作を見たのは放送を録画したVHS以来だが、「こんなことまでやってたのか!」という発見は全編通じて私を楽しませてくれた。
御存知のように、もののけ姫は部分的とはいえ、ジブリがアニメーション制作に黎明期のデジタルを本格的に導入した作品であり、アナログの究極到達点とデジタルの勃興が同居する稀有な作品である。そして、製作手法が違えば、最終的に出力される画も当然違ってくるのだということを、今回のBDは実に厳密に、取りこぼすことなくディスクに収めている。
いちオーディオビジュアルファンとして高画質を讃えるとともに、いちアニメーションファンとして、今回のBDの“資料”としての価値についても大いに強調しておきたい。
ただし、前述のとおり明らかにアナログパートとデジタルパートで画に差があるので、トータルの評価として10点は付けられないかなと。☆を付けるから許してほしい。
見どころ:
タタリ神(エミシ村)、タタリヘビとともに蠢く赤黒い光
でいだらぼっちの体内

花咲か爺

音質について。
ステレオも収録されているが、5.1chで視聴。5.1chはステレオに比べるとノイズフロアが高い感。まぁ音が鳴り出せば気にならない。
BGMのサラウンド化は非常に入念に行われている印象。最初と最後のアシタカせっ記からもそれは伺える。その他、風、水、雨といった環境音も単なる雰囲気作りのレベルを越えて、しっかりマルチチャンネルを生かした実体感のあるものとなっている。この辺り、サラウンドの活用という点では間違いなく『耳をすませば』の時よりも進歩している。
一方で、期待したほどではなかったのが活劇としての音。本作は屍山血河と鉄火が舞い踊る凄惨なシーンが多いのだが、相変わらずダイナミックレンジの絶対値が低いため、音響だけでシーンを引っ張っていくようなパワーは残念ながらない。効果音ひとつひとつは凝っているとしても、音響効果としてはあくまでBGMの枠内にとどまっているという印象を受ける。むしろ静かですらある。環境音が非常に頑張っているだけに、戦場の音の力感のなさは少々気になるところだ。
石火矢とか、アシタカが放つ弓矢とか、もっと悪魔的な音響効果を施してもよかったんじゃなかろうか。
聴きどころ:
アシタカせっ記
コダマがカラカラカラカラ……
黙れ小僧

BDレビュー総まとめ

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