*

【BDレビュー】 第219回『電脳コイル』

公開日: : 最終更新日:2013/12/15 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

この時代において攻殻機動隊を再解釈して再構築したとも言える傑作


画質:9 音質:10


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit(!)

画質について。
さすが資金源がNHKとでも言うべきか、牧歌的な表層を越えた領域へのこだわりは尋常ではないし、未だにSDで作っているアニメがある中で、画質の基礎体力も頭一つ抜けていると言っていい。きちんとハイビジョンで作っている作品である。
とはいえ、微妙に甘く、全体的に1080Pなのかどうか怪しい。ひょっとしたら部分的に720Pかも。少なくとも、作画素材は一部で解像度が足りずジャギーが出る。
この作品のキャラクターデザインは基本的に「影が無い」のに加え、背景美術もそこまで細密志向ではないため、異様に豪華なアニメーターの競演による作画(≒動き)の魅力はさておき、パッと見の情報量はそれほどでもない。
本作の映像には、常に電脳的なノイズを可視化するフィルターがかかっている。映像の圧縮に伴う技術的弊害としてのノイズではなく、あくまで画作りとしてのノイズフィルターである。似たような例として、デジタル化以降のジブリ作品におけるポニョフィルター、鴉-karas-のすりガラスフィルター、怪-ayakashi-の和紙フィルターなどがある。ランダムに変化するフィルターのため、ある意味フィルムグレインのような、そうでないような、不可思議な質感を映像に与えている。放送波を見ていた時分には気付かなかった質感表現である。
そんなわけで、本作におけるディティールの主役は電脳空間である。彩度の低いごくごく日常的な風景の上に、多層構造のフィルターワークを駆使して電脳空間が表現される。現実と電脳空間のギャップはすさまじく、やわらかい現実に対して電脳空間は鋭角的かつ凄まじい勢いで文字情報や画像情報が現れては流れ、画面いっぱいに光が迸る。そういう意味で、本作における最大の見どころはハッカー同士の電脳戦に他ならない。
画質的には高水準にまとまっているが、前述のとおり全体的に彩度が低く、決してREDLINE的な派手さは無い。しかし、その一見の地味さの中には半ば変態的にまで凝ったディティールが密やかに息づいていたりするのだ。
ちなみにマッハバンドは少しだが見られる。しかし、ノイズフィルターのおかげで巧妙に軽減されていると言っていい。
見どころ:
4話
25話

聴きどころ:
地上波放送のアニメシリーズでDTS-HDMAの5.1ch・24bit収録なんていう作品はそうそうあるまい。そしてスペックだけの見かけ倒しにならない、真に優れた音響をテレビシリーズで実現している作品は極めて稀である。
絶対的な音質の素性の良さはダイアローグを聴けばすぐにわかる。極めて明瞭にして、声にならない口の動きも明確に捉え、演技の妙味を掬い取っている。
BGMのサラウンドミックスも非常にハイレベルであり、なんとなくサラウンドにしてみましたといった次元ではない。ダイアローグ同様オーディオ的な質感にも優れ、ハッとするような生々しさを随所に感じ取ることができる。
そして音響効果を生み出す音の数々なのだが、こちらでも電脳空間が主役になる。
サッチー、Qちゃん、メガビー、直進くん、追跡くん、2.0、心躍る電子の光は日常空間のそれとは打って変わって強烈なインパクトとダイナミズムを持って空間を跳ね回り、認識の魔術空間に音をもって彩りを添える。
個人的に、電脳空間の可視化という点で、電脳コイルは攻殻機動隊SAC 2nd GIGのさらに先の地平に到達していると思っているのだが、映像だけでなく、音響効果もまたその感覚の醸成に一役買っている。
聴きどころ:
4話
イサコ様全般



BDレビュー総まとめ

スポンサーリンク


関連記事

fidata HFAS1-XS20

fidata、オーディオサーバー最上位機「HFAS1-XS20」。2TB SSDを搭載し音質強化 -

記事を読む

PS4 Pro

新型「PS4 Pro」11月10日発売、価格は44,980円!全てのソフトを4K画質&安定した高速フ

記事を読む

【音源管理の精髄】 理想のネットワークオーディオプレーヤーとは? 【ネットワークオーディオTips】

 理想のネットワークオーディオプレーヤーとは何か。  ……正直なところ、「音楽を快適に聴く」と

記事を読む

【Dolby Atmos導入記】AVアンプの選択②――Pioneer SC-LX59

【Dolby Atmos導入記】AVアンプの選択  上の記事を書いてから既に2年近く、ようやく

記事を読む

ESOTERIC N-05

 祝・気合いの入った国産ネットワークオーディオプレーヤー。 エソテリック、ネットワークオーディ

記事を読む

続・Nmode X-DP10

新製品発売のお知らせ - Nmodeの部屋 発売日は2017年4月10日(月)です。 当初は

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】鷺巣詩郎 / ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 オリジナルサウンドトラック

・アーティスト / アルバムタイトル 鷺巣詩郎 / ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 オリジナルサウン

記事を読む

【レビュー】 BENCHMARK DAC2 HGC 音質編

 外観・機能編はコチラ。  内部のジャンパーを動かし、ゲインを落とした。  それでも、ボ

記事を読む

【イベントレポート】ネットワークオーディオ実践セミナー・アバック大阪梅田店

【ネットワークオーディオで実現する快適な音楽鑑賞空間の構築】全国横断実践セミナー  8月1日と

記事を読む

サーバーで音は変わるか? ソフト編

【ネットワークオーディオの魔境を往く】 - いったい何が始まるんです?  ハード編の続

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

【レビュー】SOULNOTE D-1 音質編

外観・運用編 ・再生環境(詳細) canarino

【Munich HIGH END 2017】SFORZATO / fidata in Munich

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】Cocktail Audio CA-X50 【Roon Ready】

  Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら

【Munich HIGH END 2017】constellation audio LEO 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】Roon Labs自身による“Nucleus” Roon Server

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】Playback Designs Dream DAC MPD-8 / Transport MPT-8 【Roon?】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】DELAの進化は続く

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】Mark Levinson No519 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】dCS Vivaldi One 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】Ayre QX-8 / AX-8 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】MSB Technology The Reference DAC 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

【Munich HIGH END 2017】AURALiC G Series 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。

言の葉の穴・四周年

 三周年記事で地元ネタ全面解禁宣言をしてから1年。  主に私のや

【Munich HIGH END 2017】Dynaudio Special Forty

Dynaudio Special Forty https://y

【レビュー】SOULNOTE D-1 外観・運用編

 SOULNOTEのDACには、対応フォーマットのスペックを偏重する流

LUMIN U1がDSD256に対応

LUMINのネットワークトランスポート「U1」、11.2MHz DSD

【菅江真澄紀行文】『菅江真澄と歩く 二百年後の勝地臨毫 出羽国雄勝郡』が完成しました

小町ゆかりの地「真澄と歩く」出版プロジェクト - FAN AKITA

【御礼】ヘッドホン祭&北陸オーディオショウ(デジ研)・OTOTEN 2017が終了しました

春のヘッドホン祭2017 / 第2回北陸オーディオショウの「デジ研」に

【おしらせ】OTOTEN 2017に参加します

 久々だと思っていたら三週続けてのイベント参加です。 O

【おしらせ】春のヘッドホン祭2017 / 第2回北陸オーディオショウの「デジ研」に参加します

 久々のイベント参加になります。 春のヘッドホン祭201

→もっと見る

PAGE TOP ↑