アイコンDolby Atmos

 BD買い替え不可避。
 『ゼロ・グラビティ』の宇宙遊泳のシーンとか『マン・オブ・スティール』の崩壊するビルをきりもみ飛行で突っ切るシーンとか『パシフィック・リム』の公衆シェルターに響くKAIJUの足音とか、きっと大いにDolby Atmosが活きるだろう。“巨大”を地で行く映画館ではなく、精緻に構築されたホームシアターでDolby Atmosがどのような音響空間を描くのか、興味は尽きない。
 あと昔の映画でいえば『U-571』なんかはまさしくDolby Atmos向きの映画だと思う。旧作のDolby Atmosリミックスにも大いに期待したい。


 BDが出てきて、いわゆるロスレス音声の普及も一段落したあたりから、フロントワイドとかフロントハイトとか、その手の音場拡張の試みが盛んにされたが、私としてはまったく興味を持てなかった。というより、無理矢理にでも新機能を作り出してAVアンプの新製品を買わせようとするメーカーとドルビーやDTSの苦肉の策にしか見えなかった。
 「フロントワイドを導入すれば効果てきめんだよ!」と言ったと思えば今度は「あ、やっぱりフロントハイトの方が効果があるよ!」と言ってみたり、そんな忙しい業界を微笑ましく眺めていた。収録音声は7.1chから増えないのに、AVアンプのチャンネル数は増え続け、気付けば11.2chなんてのも。そりゃ確かにスピーカーを増やせば間違いなく包囲感も増すが、所詮ディスクリートではない“演算で作った音”のためにここまでするのは過剰に思える。スピーカーを売る側としてはたくさん売れるに越したことはないだろうが。

 Dolby Atmosが劇場に導入された時から、いつかは家庭用に降りてくるだろうと期待して待っていた。これでようやく、止まらないAVアンプの多チャンネル化も意味を持つようになる。
 発表記事を見る限り既存のBDPでもDolby Atmosに対応できるらしいが、どんな形式になるのかはわからない。なんにせよAVアンプは新しくする必要があるようだ。天井用にもう一組ディナも買わねば。

 そしてSC-LX85を使っている手前、パイオニアのAVアンプ新製品に期待した次の瞬間、衝撃のニュースが……

 いっそのことそろそろ一体型AVアンプには見切りをつけて、マランツから出るらしいAVプリ(AV7702)でも買って、パワーを別口で用意するというのもありかもしれない。どうせAVアンプじゃどう頑張ってもディナは鳴らん。


 4KBD(仮)はいつまで経っても姿を見せないが、Dolby AtmosのおかげでにわかにAVも面白くなってきた。
 どれだけの音響的向上が手に入るのか、今から楽しみで仕方がない。



【Dolby Atmos】 オブジェクトベースシアターへの道・まとめ 【DTS:X】