画質:5 音質:14


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの16bit、7.1ch

画質について。
ハイビジョンの解像度にはまるで似合わない、古臭く安っぽく甘い画。画質そのものに関して言えば、何かしら画作りを考えて撮ったとは到底思えず、とりあえず手元にあったカメラとフィルムでそのまんま撮ったようにしか見えない。作品の生まれを考えれば撮影機材的にもこれが限界だろう、としか言いようがない。
フィルム由来のグレインはかなり強めに出るが、いわゆる圧縮ノイズの類は見られない。ここが唯一BDの恩恵と言えるだろう。
ただし撮影時点のものと思われる暗部ノイズは出る。仕方あるまい。
見どころ:
特になし

音質について。
あまりにも露骨なアフレコのダイアログ。たまげたなぁ。
少なくともダイアログに関して言えば、自然さとも馴染みの良さとも無縁。しかし、そういうもんだと割り切ってしまえばそれはそれで味になる。さらに言えば、ダイアログもBGMも非常にナローレンジの厚ぼったい響きであり、現代的な明晰さは皆無である。けれども、クサくてたまらないBGMがめいっぱいのふくらみを持って全チャンネルから響くのは絶妙に心地よい。
作品全体のハイライトである銃撃戦に移行すると、音響的にはとてつもない輝きを放つようになる。銃撃戦に込められたエネルギーがこの映画の音響の全てだと言ってもいい。
ダイアログや日常的効果音とは明らかに異質のダイナミクス。銃弾の一発一発が実に印象深く鼓膜を揺さぶる。そしてその銃弾の数も半端ではない。7本のスピーカーをこれでもかと言わんばかりの絶叫させ、その空間的精度も素晴らしく練られている。カメラの位置を中心にしてどこから撃つのか、撃たれるのか。たったこれだけのことが分かるソフトがどれほど少ないことか。
何より素晴らしいのが、銃声をきちんと「怖い」と感じられる音に仕上がっていること。これは数多くの要素が綿密に絡み、並大抵のことでは達成できない。
制作時点でのオリジナルの音響がどのようなものであったかは定かではないが、本編前にDTSのロゴ映像が入るくらいである。一体どれほどの愛情が注ぎ込まれてBDの音声として結実したのか、それを最大限の幸福と共に知ることが出来る。
一緒に撃たれまくって死のう。
聴きどころ:
全ての銃
蜂の巣



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