画質:13 音質:9


映像はVC-1、音声はDTS-HDMAの7.1ch、24bit

画質について。
・ニューラインシネマ製作
・DTS-HDMA7.1ch
・映像コーデックにVC-1を採用、ハイビットレート仕様
以上三つの条件を満たすBDは現状『ダークシティ』、『ヘアスプレー』、『シューテム・アップ』、そしてこの『セブン』の四本。おそらく全て同じエンコードスタジオが手がけたもの。ワーナーが単なる惰性でVC-1を採用しているのに対し、純然たる高画質でもってVC-1の底力を証明している工房といえる。
『セブン』の画調は監督つながりということもあり、画面の大部分に染み込む闇、相対的に鋭さを増す光明など、『ファイトクラブ』と非常に似通っている。
しかし、画質的には年代的に先行する本作の方が遥かに素晴らしい。ファイトクラブの画作りのほうが粒状感が効いているというのを加味しても、本作の画はベールを毟り取ったかのような鮮鋭感に満ちている。
あくまでフィルムの質感を保ちつつも、映像全体にみなぎる情報量は半端ではなく、クローズアップ時の切れ上がるような解像感は昨今のよく出来たデジタル撮影の画と真正面から殴りあった挙句ぶちのめしてしまうほどのレベル。
さらに闇の純度は群を抜いて素晴らしく、深々とした闇の中に佇む俳優たちも小道具も、ぎりぎりの光量の中で豊かな表情を見せる。
『プライベート・ライアン』や『コンタクト』と並ぶ、フィルム撮影の作品として画質の頂点の一角を占めると自信を持って言える。素晴らしい。

音質について。
細かな効果音を緻密に積み上げていくと、BGMに頼らずとも作品に厚みが出るということの好例。
非常に練られた音響だが、あくまでステレオ主体の音響であり、移動の演出的なサラウンドの活用は限定的。ただしディスクリートで7.1chを収録しているというのは伊達ではなく、広大さというよりはむしろ閉塞感を演出する音空間の創出は流石である。
効果音の存在感や俳優のダイアローグは全て水準以上のレベルにあるが、音による驚きの演出は少なく、もう少し音響的にも冒険をしてもよかったかもしれない。
ラストの銃声は嗚咽のように響く。



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