画質:15
音質:15
映像:AVC MGVC(Master Grade Video Coding)
音声:ドルビーTRUEHD 5.1ch advanced 96k upsampling
○画質
完璧に素晴らしい画。
戦争映画だというのに極めて清廉で、たおやかで、見目麗しい。
透き通る闇、瑞々しい木々の緑、金色の木洩れ陽、山の澄んだ空、荒涼とした岩肌……本作が戦争映画だということを忘れてしまうくらい、本作の画は美しい。素直に“映像美”と言ってしまいたくなるほどに。
それでいて鮮鋭で、情報量に漲り、炸裂する鉄火と血飛沫のディティールを叩き付けてくる。迫真のクローズアップ。撒き散らされる血と吐瀉物。圧倒的に酷薄に、冷徹に、この手の映画にありがちな粒状感過多といった演出の手を一切借りず、ただひたすらあるものをあるがままに、恐るべき鮮度で映し出すことによって醸成される圧巻の“戦争”。
最初から最後まで釘付けである。
ちなみに本作はMGVCを採用した初の実写映画らしい。その効果がどこまで発揮されているかは定かではないし興味もないが、結果として出来上がったのが極めつけの高画質であることに異論はない。
○見どころ
木々の緑と木洩れ陽が織り成す神々しい光景
○音質
これまた壮絶に素晴らしい。
戦争映画でありながら、最初の銃声が響くのはなんと開始から55分後。
しかし、本作のサウンドデザインは極めて精密かつ周到であり、そこに到るまで退屈するようなことは一切なかった。
冒頭、音圧を欲張らずとも豊かな立体感を見せるヘリの駆動音に始まり、鮮烈なダイアローグ、高品位な劇伴と、本作の非凡な音響的資質を期待させるに相応しい始まり。闇夜の山中に降り立ち、静かに行軍する中にも、木々を渡る風や周囲を飛ぶ虫の羽音など、静寂と緊張を高める仕掛けが随所に凝らされている。劇伴の使い方も実に素晴らしい。
そしてついに戦いの火蓋が切って落とされるわけだが、期待通り、否期待を上回って余りあるとてつもない銃撃戦である。究極的な爆発力は『プライベート・ライアン』や『ランボー 最後の戦場』に僅かに及ばない印象だが、精緻極まりない空間の構築、そして何より“本気で視聴者を殺しにかかっている”容赦のなさはそれらに匹敵する。銃火の威力はRPGや機関銃も含めて十二分に素晴らしく、スピーカーは終始咆えっ放し。
音も画と同様、演出的な大仰を廃して酷薄に徹した無慈悲なもの。鼓膜と肉体を鋭利に切り裂き、心を震わせる。
これぞ銃撃戦、これこそマルチチャンネル・サラウンドである。
ちなみにスタッフロールを見ていて気付いたのだが、本作はDolby Atmosではないようだ。
○聴きどころ
すべて
○総評
文句なしの超優秀盤。
AV的なクオリティは勿論のこと、作品としても素晴らしい。
“Dolby Atmos以前”、その有終の美を飾るに相応しい。
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
OPPO BDP-103
・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
・音響
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PW10
Nmode X-PW1 ×3
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Focus200C
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52
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