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【BDレビュー】 第127回『BLOOD THE LAST VAMPIRE』

公開日: : 最終更新日:2013/12/15 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

フルデジタル製作黎明期の傑作。
デジタルという言葉から連想される機械的無機質さは全く無く、むしろ非常に肉質的な感覚に溢れており、デジタルという製作手法の可能性を大いに示した快作である。


画質:8 音質:11


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit。

画質について。
今回のBD化ではデジタルマスターとテレシネの両方を収録しており、先日のヱヴァ序の件とも絡めて書き出したい。
まず言っておくことは、BLOODにおけるテレシネ版に“積極的な”意味を見出すのは不可能ということだ。消極的な意味なら見出せるが。色彩は大幅に減退し、光は力を失い、切れるような解像感も影を潜める。
こんなことを書くと、「それでもテレシネにはフィルムの良さが~」なんて言葉が聞こえてきそうだが、残念ながらBLOODの場合、テレシネ版であってもそんな“味”など無い。精々マッハバンドが画がボケた副作用として出にくくなっている、という程度である。
ここで問題にされている“アニメにおけるフィルムの味”とは、そもそも製作工程においてセルと光学的撮影を経るからこそ生じるものであって、BLOODのようにフルデジタル製作作品でははなから生じ得ないよう物のように思う。実際に、BLOODのテレシネ版の画は『攻殻機動隊』といった作品が共通して持つ画とは全く異質であり、デジタルの良さが消えた挙句にフィルムの味も無い、非常に中途半端なものになってしまっている。
というわけで、BLOODにしろヱヴァ序にしろ、フルデジタル製作アニメのフィルムテレシネはなんら“味”とやらを生むことは無く、ただ単に劣化するだけというのが私の見解だ。フルデジタル製作のアニメでフィルムの味とやらを出したければ、例えばイノセンスのようにマスターの時点で画に散々フィルターやらエフェクトやらをかけるしかないだろう。もちろん、フィルムの完璧な再現というのも困難を極めるだろうが。また、「テレシネにしないとCGとのなじみが~」という声もあるが、これはクリエイターが映像製作の段階で考えるべき問題であり、テレシネの効用、もとい弊害に期待すべきではない。デジタルマスターではCGが浮きまくったのでテレシネで全体のレベルを下げて解決しました、こんな発想はむなしすぎる。
ヱヴァのようにまた脱線してしまった。
では、BLOODのデジタルマスターの画質は完璧かと言われれば、決してそうではない。マッハバンドは割りと頻繁に出るし、背景の美術やらが画質的にはそれほどでもない。これはむしろ、フルデジタル製作黎明期ゆえの機材の問題のようにも感じる。この辺の粗はテレシネ版だとそれなりに隠れるといえば隠れるのだが、代わりに失うものが多すぎる。
なんにせよ、画質的には究極とはとてもいえないが、フルデジタルゆえの解像感や鮮明さに満ち、暗部にも膨大な情報量が息づいている。この偉大な作品を味わうには十分な高画質であると結論できる。そして、この時代においてマスターをHDで作ったクリエイター達に最大級の賛辞を!

音質について。
「肉」の音である。
基本的に肉。
肉が切られる音、肉が空を切る音、肉が膨らむ音、肉が唸る音、とにかく肉。
文字通り肉質的で実に生々しい音をベースに、刀、十、音楽その他が生き生きと歌い踊る。“映像を盛り上げる音”という点では最高峰。最高のシーンは言わずもがな、焦らしに焦らした上でのあの一刀両断だろう。
「SWOOOOOOOOORD!!!」
 ↓
投げられた刀をキャッチ!
 ↓
振り向きざまに抜刀!!(全チャンネルから目一杯の風切り音!)
 ↓
紫電一閃!!!
もう最高。演出、展開、作画、すべてにおいて血湧き肉踊る珠玉の名シーンである。
同じ一刀両断つながりで獣兵衛忍風帖とかバンパイアハンターDとかも早いとこBD化しないかしら。あと妖獣都市。HENTAI。
ちなみに、DTS-HDMAのロゴ映像が初めて?本編前に入ってた。ドルビーTRUEHDでおなじみのあんな感じの。今更露出増やそうってったって遅いんだよ!



BDレビュー総まとめ

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