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マランツ・NA-11登場記念 ネットワークオーディオの現在と未来を考える

公開日: : 最終更新日:2013/12/15 PC・ネットワークオーディオ関連, オーディオ・ビジュアル全般

※この記事は2013年2月5日に書かれたものです


マランツ、60周年記念のUSB-DAC/ネットオーディオプレーヤー「NA-11S1」



 すべてのネットワークプレーヤーに言えることだが、ギャップレスはもう当然の前提条件として、以下の二つはどうだろうか?


◎本体側にプレイリスト/キューを保持できるのか?
DMCが起動してないと次の曲が再生されない、なんてザマはいい加減NG
DLNAの仕様です、なんて情けなさすぎる言い訳もNG


◎再生中のシークはできるのか?
PC上では当たり前にできることができないなんてのはNG


 私はハイレゾだのDSDだのと大騒ぎする前にやることがあるでしょとずっと言い続けているが、未だに『ユーザビリティ』というものに対してメーカー含む業界の意識が低すぎる。ギャップレス程度で誇らしげにしていること自体、ある意味では異常。
 あと極端な話、KinskyとSongBook Liteという非常に洗練された汎用アプリがある以上、少なくとも音楽を快適に聴くうえで“メーカー純正アプリ”の価値は微妙。しょぼくれた出来の純正アプリを見栄張って出すくらいなら、PrimareのようにSongBookと協業して自社製品向けに最適化するとか、そういう路線のほうが遥かに高品質なうえにユーザー志向でもある。

 LINN DSがネットワークオーディオプレーヤーというジャンルにおいて未だに孤高かつ独走の地位を保っているのは、ひとえにユーザビリティという点において圧倒的な優位性があるからだろう。色々なメーカーが同ジャンルに参入し、そこで「LINN DSでは当たり前のように出来ていたことが、何年も後発の製品なのにまるで出来ない!」ということが明らかになった挙句、LINN DSの優位性がますます明確になるという皮肉な結果になってしまった。LINN DSより高音質な機器はいくらでもあるだろう。ただ、LINN DSの本当の強みとはそこではない。
 音楽を快適に聴くうえで当たり前に必要とされることを、ユーザーにそうと意識させずに完璧に提供する、この優れたユーザビリティこそ、LINN DSの本懐であり、核心である。
 いったいどれほどのメーカーがそこに気付いているのだろうか。

 私はLINNの回し者ではない。
 しかし残念ながら、ネットワークオーディオというジャンルにおいて、未だにLINN一強なのは事実である。
 音質の追及、おおいに結構。ハイレゾ、DSD、狂奔おおいに結構!
 ただし、「その機器/システムを使っていかに快適に音楽を聴くか」ということを真剣に考えない限り、本当の意味でLINNと同じ土俵に立つことはできないだろうし、LINN一人勝ちの構図も変わらないだろう。

 繰り返すが、私はLINNの回し者ではない。
 ネットワークオーディオという手法こそ、これからのオーディオが目指すべきひとつの解であると信じているだけだ。そしてこの文脈において、LINN一強の現状が歯がゆく悔しくもある。
 マランツのNA-11なんて、それこそMAJIK-DSが裸足で逃げ出すレベルの音質を備えているに違いない。ただ、それだけでは、音がいいだけでは、現状DSのシステムで実現できている快適さを手放すには至らない、というのが偽らざる心境だ。逆に、DSと同等のユーザビリティを備えてさえいれば、もはやDSである必要は無い。というよりむしろ、純粋に音質という評価軸で考えたとき、LINN製品って正直どうなの? と思わなくもない。
 狭義のネットワークオーディオ――LAN経由で音源をストリーミング再生するオーディオ機器が廃れ、狭義のPCオーディオ――PCとUSBで接続するDACが完全に主流になったとしても、コントロールのインターフェースとしては、間違いなくネットワークオーディオの流儀が生きるだろう。
 その時、そうなった時、日本のオーディオ業界は、業界として、はたしてユーザーにノウハウを提供できるのか?

 目指すべき地点は未だ遠い。



ネットワークオーディオTipsまとめ

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