*

【AV史に残るBD勝手に10選】BDと歩んだ7年半

 最初に、一番最初に再生したBDはたしか『ステルス』だったような気がする。
 発売からあまり間を置かずにPS3を手に入れて、初めてBDを再生した時の感動は今でも鮮明に覚えている。
 その時点で既に私はAVという領域の門戸を叩いてはいたが、世にこんな高画質な映像があるものなのかと猛烈に感激した。『ステルス』は今では、というか当時の時点でそれほど高画質なソフトというわけではなかったが、とにかく度肝を抜かれてしまった。PS3購入後は、当時コレクション途上であった『鴉-KARAS-』と『蟲師』と『ノエイン』という例外を除き、DVD不買の誓いを立てるほどに。

 それからというもの、バイトの稼ぎはゲームではなくもっぱらBDに消えるようになった。
 BDは未曾有の高画質で私の目を楽しませてくれた。オーディオ・ビジュアルという趣味に目覚めて善かったと心から思った。

 視聴したBDが10本を越え、20本を越え、30本を越え……という中で、私はBDの中にも、明らかな画質差・音質差があることに気が付いた。DVDとは次元の異なる高画質なソフトもあれば、“何かおかしい”と感じるようなソフトもあった。最初期の時点で、BDにはソフトによって歴然たるクオリティの差があったのである。
 “BDだから高画質”なのではない。BDとは、あくまでDVDより大きなに過ぎない。今思えば至極当たり前の話ではあるが、そのことに早い段階で気付くことが出来て本当によかった。

 2007年当時、私はある問題を感じていた。
 AV業界の中においてさえ、BDがちっとも盛り上がらないのである。それどころか、長年AVに取り組んできた層の中に、「DVDで十分」という空気を感じていた。そういえば、Hなんとかとの争いもあった。懐かしい。
 そして私は、「BDの良さを伝えたい」ということで、畏れ多くも某AVコミュニティでBDのレビューを始めた。百戦錬磨の諸氏が集う場所で、ロクな機材も経験も持たない若造がそんなことを始めたのだから、当時の私はなかなかにロックだったのだろう。そしてそのレビューは紆余曲折を経ながら、今も続いている。

 BDのレビューをすることで“BDの良さを伝える”という目的がどれほど達せられたかは知る由もないが、少なくとも私自身にとっては、とてつもなく大きなプラスとなったことは疑いようがない。BDを買ってきて、ただ漫然と見るのではなく、画質と音質に自分なりの評価軸を設定して、評価し、それを積み上げていくということは、AVの経験値のこのうえない蓄積となった。
 なぜ高画質なのか。そもそも高画質とはどのようなものなのか。
 なぜ高音質なのか。そもそも高音質とはどのようなものなのか。
 点数を付けて発信するという行為に責任を持つため、色々と調べたし、色々と考えた。とにかく勉強になった。画質はBDに“なる前”の時点でほとんど決まっているということを理解した。また、BDの音質にとって極めて重要な役割を果たす、“音響”という評価軸を確立することもできた。

 時が経つにつれ、発売されるBDのクオリティはどんどん向上していった。
 それに引きずられるように、BDの真価をますます発揮させるべく、私の再生環境も次々に更新されていった。
 私のAV遍歴はBDと共にあった。

 BDの本格的な始動から7年以上が経過した現在。
 “HD”という言葉はもはやAVの先端でも何でもなく、4Kは現に製品化され、さらなる高解像度の足音も聞こえつつある。私自身は4Kのソフトが出ない限り4Kの表示機器を買うことはないだろうが、そのソフトの登場も時間の問題だろう。未だに「DVDとどう違うの?」と聞かれることも多いBDだが、既に“最高の画質を実現できるメディア”ではなくなりつつある。


 そんな結節点にある今だからこそ、長らくAVシーンを牽引してきたBDに敬意を表するために、“AV史に残るBD”を10本、私の独断と偏見で選んでみたい。
 BDの画質や音質がどのような軌跡を辿ってきたのかを振り返ることは、そう遠くない将来登場するであろう4Kソフトへの展望を得るうえでも有用となろう。

 なお、“映画史”ではなく、あくまで“AV史”である。問題にされるのは画質と音質である。
 また、ソフトの絶対的な画質音質でもって選出するのではなく、“当時果たした役割の大きさ”を重視する。
 ちなみに、大作映画や、一般に“名画”とされる映画でも、AV的には醜悪と言わざるを得ない品質のBDは多々存在する。よって、「あの名作がついにBD化!」などという売り文句は、商業的には意味があるのかもしれないが、AV的には何の意味もない。いざ蓋を開けてみれば無様な出来映え、そんなケースにだって何度も出会った。
 作品としての価値と、AV的な品質は別物である。実際にレビューを見てもらえばわかると思うが、名画だろうが名作だろうが、私は容赦も遠慮もしない。


 それでは次回、第10位からのスタートである。



BDレビュー総まとめ

スポンサーリンク


関連記事

「純粋なネットワークオーディオ」への憧憬

 「ネットワークオーディオとは音楽再生におけるコントロールの方法論である」と言っているのも、「ネット

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】 John Mayer / Paradise Valley

・アーティスト / アルバムタイトル John Mayer / Paradise Valley

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第194回『ワイルド・スピード クアドリロジー』

『ワイルド・スピード』 画質:7 音質:8 『ワイルド・スピード X2』 画質:7 音質:8 『

記事を読む

【レビュー】fidata HFAS1-XS20 音質・サーバー編

外観編 音質・ミュージックサーバー編  まずは、純粋なサーバーとしての音を聴く。

記事を読む

順調に増えていくRoonのパートナーブランドと国内メーカーの動向

 気付けば、RoonのHPのPartnersのページで、Roon Readyプレーヤーを作っているブ

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第199回『マスク・オブ・ゾロ』

画質:8 音質:12 映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit 画質について

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第167回『serial experiments lain』

画質:8 音質:9 映像はAVC、音声はリニアPCM16bitステレオ 画質について

記事を読む

【音源管理の精髄】 DSDを配信可能なサーバーソフト 【ネットワークオーディオTips】

 いわゆるPCオーディオなら、USB DACと再生ソフトを用意すれば事足りるが、ネットワークオーディ

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第113回『ゴーストライダー』

画質:12 音質:13 映像はAVC、SPEらしい手慣れたエンコード。 音声はリニアPC

記事を読む

【音源管理の精髄】 理想のネットワークオーディオプレーヤーとは? 【ネットワークオーディオTips】

 理想のネットワークオーディオプレーヤーとは何か。  ……正直なところ、「音楽を快適に聴く」と

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

【UHD BDレビュー】第13回『ローン・サバイバー』 米国盤 【DTS:X】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/20初出の記事を更新・

【地元探訪・神様セカンドライフ編】元稲田神社/あぐりこ稲荷(羽後町杉宮)

神様セカンドライフ 66話「あぐりこ稲荷」  雄勝郡の稲荷オ

【UHD BDレビュー】第12回『チャッピー』 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/20初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第11回『エクソダス:神と王』 米国盤

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/17初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第10回『マン・オブ・スティール』 米国盤 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/16初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第9回『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』 米国盤 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/06初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第8回『インデペンデンス・デイ』 【DTS:X】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/06初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第7回『アメイジング・スパイダーマン2』 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/05初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第6回『クリード チャンプを継ぐ男』

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/05初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第5回『X-MEN: アポカリプス』 米国盤 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/04初出の記事を更新・

【ハイレゾ音源備忘録】結城アイラ / decade wind(NetAudio27付録) 【768kHz/32bit】

・アーティスト / アルバムタイトル / 曲タイトル 結

【UHD BDレビュー】第4回『パシフィック・リム』 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/10/07初出の記事を更新・

SOtM sMS-200でMinimServerとBubbleUPnP Serverが使えるようになった

【レビュー】SOtM sMS-200 外観・仕様編 【レビュー】SO

【UHD BDレビュー】第3回『キング・オブ・エジプト / GODS OF EGYPT』 米国盤 【DTS:X】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/07/31初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第2回『デッドプール』 米国盤 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/07/31初出の記事を更新・

【UHD BDレビュー】第1回『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』 米国盤 【Dolby Atmos】

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/07/28初出の記事を更新・

LUMINのプレーヤーがついにMQAに対応

LUMIN is NOW Roon Ready! そしてMQAとSpo

【ハイレゾ音源備忘録】大植英次・ミネソタ管弦楽団 / Respighi: Belkis, Regina di Saba, Ballata delle gnomidi & Pini di Roma 176.4kHz/24bit

・アーティスト / アルバムタイトル 大植英次・ミネソタ

【ハイレゾ音源備忘録】大植英次・ミネソタ管弦楽団 / Stravinsky: The Song Of The Nightingale, The Firebird, Rite of Spring 176.4kHz/24bit

・アーティスト / アルバムタイトル 大植英次・ミネソタ

Wireworld Platinum Starlight、襲来

 時に、西暦2017年。  秋田の片田舎に、重厚な金属製

→もっと見る

PAGE TOP ↑