某日某所、暗室にて。

 まどろっこしい話は抜きにして、一番気になっていた部分をはっきりと言おう。



 本当に真っ黒になった。



 プロジェクターを使っていながら完全な闇が訪れる。
 もうそれだけで感激した。
 本当に感激した。





 もちろん、完全な闇が実現されるのは完全黒背景時のみ。
 星がまたたく宇宙空間などでは完全な黒にはならない。
 しかし、それでも黒は相当に沈んでいる。比較したDLA-X700Rと同じレベルにまで沈んでいる。
 さらに輝度ピークの伸びが素晴らしく、パッと見のコントラストは凄まじいものがある。
 しっとり路線のビクターと比べるのもアレだが、解像感、フォーカスの良さでもDLA-X700Rを上回っていた。

 個人的には色域の拡大だの最近騒がれているHDRだのよりも、薄型テレビ時代になって失われてしまった「完全な黒」をこそ追求したいという思いがある。
 黒。とにかく黒を。
 ブラウン管の呪縛に囚われ、ひたすら映像機器に黒を求める私のような人間からすれば、EH-LS10000が実現する「完全な黒」は、ただそれだけで代え難い魅力がある。

 プロジェクターはビクターの画が好きでずっと使ってきたが、もしEH-LS10000の次機種がリアル4Kに対応すれば、その時はもしかしたら……