*

【音源管理の精髄】 WAVでリッピングするとタグはどうなる? 【ネットワークオーディオTips】

公開日: : 最終更新日:2017/11/15 PC・ネットワークオーディオ関連, オーディオ・ビジュアル全般

 正直「何を今更」というか、物凄く不毛なことをしている気がするのだが、未だに「WAVではタグが使えない」なんて言説がまかり通っている以上、この手の情報が多いに越したことはあるまい。


 大切なのは「WAVかFLACかではなくきちんとタグを整備するか否か」であり、そして「WAVとFLACはタグを保持したまま相互に変換可能」ということは既に示した。
 ちなみにこれらの記事でFLACが登場しているのは、単に「WAVとFLACではWAVの方が高音質」という不毛な議論によく付き合わされているからであって、特にFLACである必要はない。別にALACでもAIFFでも構わない。要は、「タグが使えると目されている」形式なら何でもいいのである。それでも不毛な議論に興味がある人は魔境へどうぞ。ただし魔境の話題をこちらには持ち込まないで。


 さて、今まではリッピングでも何でも、基本的にFLACを使うということが念頭にあり、「FLACからWAVへ」という方向で検証を行ってきた。
 FLACでリッピングすれば間違いなくタグは付加されますね、とか、FLACでリッピングした音源をWAVに変えてもきちんとタグは保持されてますね、とか。
 となると、「それじゃあWAVでリッピングすればタグはどうなるんだ?」という疑問が出てきてもおかしくはない。現に何度か聞かれたこともある。

 そもそも、WAVでタグは使えるのか?


 ま、検証あるのみである。


 たまにはオーディオっぽいCDに登場してもらおう。
 優秀録音として名高いアルバムのゴールドCDである。今回の検証に音質は無関係なので勿体ないと言えば勿体ないかもしれない。
20150312アイコン

 
 早速リッピング。
20150312(PC)01

 自分ルールで叩き直して……
20150312(PC)02

 まずは、いつものようにFLACでリッピングした。
 dBpoweramp CD Ripperを使っているんだし、「マルチエンコーダーでいいんじゃ……」と思いもしたが、どうせ不毛な検証をしているんだからとことんまで不毛になってやろうと思い、あえてFLACとWAVで2度リッピングする。
20150312(PC)03

 FLACでのリッピングが完了した状態から、コーデックと保存先のみを変更して、再度WAVでリッピング。
 うーん、不毛!
20150312(PC)04
20150312(PC)05


 「The Well」も同様に。
20150312(PC)06

 叩き直して、
20150312(PC)07

 まずはFLAC。
20150312(PC)08

 そしてWAV。
20150312(PC)09
20150312(PC)10

 リッピングが完了した。
 念のために言っておくと、FLACだろうとWAVだろうと、リッピングの手順は違わない。
 リッピングに際して「FLACはタグの編集に時間がかかる」なんてことも、「WAVならば手間がかからない」なんてことも一切ない。見ての通り、同じである。


 音源の中身を確認する。


 The Hunter ― FLAC
20150312(PC)11
20150312(PC)12

 The Hunter ― WAV
20150312(PC)13
20150312(PC)14

 The Well ― FLAC
20150312(PC)15
20150312(PC)16

 The Well ― WAV
20150312(PC)17
20150312(PC)18

 さて、どうだろう。
 なかなか高難度の間違い探しである。


 WAVではタグが使えないって?

 御冗談を。



 ただし、「タグが使えること」と「タグが機能すること」は別物である。

 音源自体には間違いなくタグが付加されているとしても、それが機能するかどうかは再生ソフトやらサーバーソフトやらDAPの内的ソフトウェアやら、使うソフト次第である。

 「WAVではタグが使えない」と言っている人は、この辺をごっちゃにしているだけの気がする。

 それを確認する。


 ここからはFLACのファイルに出番はない。
 「WAVでリッピングした音源」が主役である。


 これがWAVの音源の雄姿。
 純粋にタグの確認のため、「folder.jpg」の類はフォルダから抜いてある。
(※入れても別に害は無いので、基本的には入れておくことをおすすめする)
20150312(PC)31
20150312(PC)32

 まずは、再生ソフトからはどう見えるのか。


・MediaMonkey
20150312(PC)19
20150312(PC)20
20150312(PC)25
20150312(PC)26

 基本的な情報は拾っているが、取りこぼしも多い。
 アルバムアートを拾えないのはつらい。



・foobar2000
20150312(PC)21
20150312(PC)27

 アルバムアートも含めて完璧に情報を拾っているようだ。



・JRiver Media Center
20150312(PC)22
20150312(PC)28

 問題無さげ。



・iTunes
20150312(PC)23
20150312(PC)24
20150312(PC)29
20150312(PC)30

 これは酷い……

 「WAVではタグが使えない」のではない

 正しくは「iTunesではWAVのタグがまともに機能しない」である。



 次。
 サーバーソフト。
 UPnPサーバーにもなる再生ソフトの類は省いて、純サーバーソフトに絞っている。



・Twonky Server
20150312(iPad)01
20150312(iPad)02
20150312(iPad)03
20150312(iPad)04
20150312(iPad)05

 タグベースでもフォルダベースでも全滅。
 残ったのはフォルダ/ファイル名のみ。
 アルバムタイトルも拾わないもんだから、「不明」の中に2枚の音源がまとめて叩き込まれているという有様だ。
 Twonky ServerはNASに入っているサーバーソフトとしてはかなりメジャーなので、上で示したようにiTunesではまともにWAVのタグが機能しないことと併せて、「WAVではタグが使えない」という認識が独り歩きする遠因になったのではなかろうか。

バージョン8.5でWAVのタグが機能するようになった。



・Asset UPnP
20150312(iPad)06
20150312(iPad)07
20150312(iPad)08
20150312(iPad)12
20150312(iPad)13
20150312(iPad)14

 タグベースでもフォルダベースでも完璧に情報を拾っている。
 アルバムのサムネイルの画像が粗いことに関してはこの記事を参照。



・MinimServer
20150312(iPad)09
20150312(iPad)10
20150312(iPad)11
20150312(iPad)15
20150312(iPad)16

 タグベースでもフォルダベースでも完璧に情報を拾っている。
 アルバムアートの表示もまったく問題なし。



・Kazoo Server
20150312(iPad)17
20150312(iPad)18

 Kazoo Serverは、LINNは、WAVを「音源」として認めていないッッッ!!!

 LINN推奨のdBpoweramp CD Ripperでリッピングしたのに、きちんとタグが付加されているのに、WAVの音源をそもそも認識すらしていない。
 まるでアップルの如き割り切りと切り捨てである。
 さすがLINN。いいぞもっとやれ。



 ざっとこんな感じである。

 繰り返すが、大切なのは「WAVかFLACか」ではない。
 そんな議論は本来どうでもいいのだ。


 大切なのは「タグをきちんと管理・編集・整備すること」である。
 これに尽きる。


 WAVでもタグは使える。それが機能するか否かはソフト次第だが。
 音質を最重要視してWAVを選ぶからといって、タグの存在を無視し、あるいは敵視さえする理由はどこにもないのである。

 フォルダベースでの管理が完璧であることを前提にしたうえで、それでもなおWAVの音源で構築されたライブラリが破綻するとすれば、その理由は「タグが使えないから」ではない。「タグをないがしろにしているから」だと言わざるを得ない。
 結局すべてはユーザーひとりひとりのこだわりと心がけ次第。


 いい加減不毛な対立はやめよう。



続編:WAVでリッピングした音源をFLAC等に変換するとタグはどうなる?


【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】

【Roon】関連記事まとめ

よくある質問と検索ワードへの回答




 ん?


20150312(PC)33
20150312(PC)34

 ここまで突っ込む?


→突っ込みました
WAVにおける日本語のタグの取り扱い


スポンサーリンク


関連記事

【Munich HIGH END 2017】MSB Technology The Reference DAC 【Roon Ready】

 Munich HIGH END 2017で気になった製品やら何やら。 <HIGH END

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第94回『マトリックス・リローデッド』

昔々、高校生の頃、PS2でDVDを再生していましたとさ。 リローデッドを見ていて、101匹スミ

記事を読む

【Dolby Atmos導入記】Transformers: Age of Extinction ― 世界初のアトモス収録ソフトを“普通に”聴いてみる

 ソフトがなければ何も始まらない。  世界初のDolby Atmos収録ソフト。  それ

記事を読む

【BDレビュー】第259回『風立ちぬ』

好きなことを一生懸命やる。 画質:15 音質:10 映像:AVC 音声:

記事を読む

JPLAYを用いたPCのネットワークオーディオプレーヤー化・音質編

JPLAYを用いたPCのネットワークオーディオプレーヤー化 JPLAYを用いたPCのネットワー

記事を読む

【ネットワークオーディオTips】「On-Device Playlist」(オンデバイス・プレイリスト)について

ネットワークオーディオにおけるプレーヤーの役割  On-Device Playlist。

記事を読む

【ネットワークオーディオTips】コントロールアプリの紹介 『media:connect』(iPhone版)

 いつまで経ってもアプリの検証が進まず、気が付いたら2015年になってしまった。  このままでは永

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第21回『パイレーツ・オブ・カリビアン3』

画質:14 音質:8 映像はAVCの完全不定。 音声はリニアPCMの4.6. 画質

記事を読む

dBpoweramp Release 16

 リッピング&タグ編集&フォーマット一括変換機能のパッケージ、自分にとって理想のライブラリの構築を志

記事を読む

JRiver Media Center 22

 22は先月には公開されていたので、遅ればせながらアップグレード。  真面目に多機能を行く、私にと

記事を読む

スポンサーリンク

Comment

  1. 通りすがり より:

    「タグは使えるが、汎用的には使えない。」
    ですな。
    再生ソフトによってタグのために再エンコなんて不毛すぎるので、個人的にwavでタグ管理はかなり微妙だと思います。
    何か絶対的なアドバンテージがない限りは特にwavを選択する理由は見当たらないです。

    • sakakihajime より:

      通りすがりさん

      例えば「WAVとFLACで音は変わるか」ということについては様々な議論があります。変わると言う人もいれば変わらないと言う人もいます。
      私は変わらない(あるいはそこに意味を見出さない)派ですが、「WAVの方がFLACよりも高音質なんだ、だから絶対にWAVを使うんだ」と判断するのは自由ですし、個々人の選択は尊重されて然るべきです。

      しかし、この記事で示したように、WAVを選択することは自身のライブラリの普遍性・汎用性という点で少なからずリスクを抱えているという事実は知っておいてもらいたいと思います。これは音質差云々とは無関係に存在する事実です。
      そして記事でも書いていますが、私が問題にしたいのは「WAVを使うこと」ではなく、「タグを用いた音源管理をないがしろにする姿勢」そのものなのです。

  2. 00Q より:

    MediaMonkyでCDをwavでリッピングして、fooberで再生してみたんですが、fooberではそのwav音源のタグが英語なら問題ないのですが、日本語だと文字化けして表示されます。
    MediaMonkyで再生する場合は、ちゃんと文字化けせずタグ通りに表示されます。

    仕方ないので、fooberでそのwav音源のタイトルのタグを修正したら、今度はMediaMonkyで再生する場合とfooberで再生する場合では、表示されるwav音源のタイトルが違うという問題まで発生してしました。

    つまりwav音源は、再生ソフトAと再生ソフトBではタグ付けが独立しており、各再生ソフトでタグを共有できず、さらに、日本語でタグ付けすると正常に表示されず文字化けするという辛すぎる結果になりました。

    dBpoweramp CD Ripperで日本語でタグ付け、リッピングした場合はどうなるのでしょうか?

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

なぜハイレゾ音源を買うのか

 音がいいから、ではない。  私が「ハイレゾ」と言う時は

【UHD BDレビュー】第47回『トランスフォーマー/最後の騎士王』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:10 音質:14 (評価の詳細についてはこの記事

SFORZATO流「ネットワークプレーヤーの使いこなし」が掲載されたので

 我が身を振り返ってみた。 Netwok Audioについて

Bricasti Design M12 / M1 SE mk2のLAN入力がPCM 384kHz/24bit・DSD 5.6MHzに対応

M12およびM1 Special Edition mk2仕様変更のご案

ついに日本でロスレス音楽ストリーミングサービス「Deezer HiFi」が開始

日本初、ロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」開始。3,

【レビュー】日本テレガートナー M12 GOLD SWITCH

 魔境深淵注意。  みんなおこらずに楽しく読んでね。

【ハイレゾ音源備忘録】Nicogi / DigiFi No.28付録音源

・アーティスト / アルバムタイトル Nicogi /

「自分の音源ライブラリ」の未来

 言の葉の穴を本格的に始めてまだ間もない頃、こんな記事を書いた。

【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトオーディオの威力を実感できるタイトル10選・2017年版

 せっかく、「さらなるサラウンド体験のために天井にスピーカーを付ける」

【BDレビュー】第353回『パトリオット・デイ』

 日本ではUHD BDが発売されないという悲劇。 https

LUMIN AppがiPad Pro 12.9インチにネイティブ対応

コントロールアプリのiPad Pro 12.9インチへの対応状況

【BDレビュー】第352回『バーニング・オーシャン』 【Dolby Atmos】

 日本ではUHD BDが出ないという悲劇。 https://

LINN KLIMAX DS/3・DSM/2(Katalyst DAC搭載モデル)がDSDの再生に対応

LINN FORUMS  LINN DSのファームウェア、Dav

WaversaSystems WCORE(Roon Server)

WCORE開発完了 - WaversaSystems  要は

【BDレビュー】第351回『ハードコア』

 一人称視点のアレ。 https://www.youtube.c

UHD BD化を待ち望む作品10選・2017年末版

BD化を待ち望む作品10選  未だBD化されていない作品も多いと

【UHD BDレビュー】第46回『スパイダーマン:ホームカミング』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:6 音質:7 (評価の詳細についてはこの記事を参

【UHD BDレビュー】第45回『ベイビー・ドライバー』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:7 音質:12 (評価の詳細についてはこの記事を

【BDレビュー】第350回『グレートウォール』 【Dolby Atmos】

同時にUHD BDが出ている作品のBDを評価するのはいささか心苦しいの

【BDレビュー】第349回『キング・アーサー』(ガイ・リッチー監督/2017年) 【Dolby Atmos】

同時にUHD BDが出ている作品のBDを評価するのはいささか心苦しいの

→もっと見る

PAGE TOP ↑