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画質:8
音質:15☆
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC・HDR10 フィルム製作・4Kリマスター
音声:ドルビーTRUEHD 5.1ch 192kHz/24bit


○画質
 BDから劇的な向上! そもそもBDの画質は「AKIRAがBDで出た!」という喜びを除けばまったくもってほめられたものではなかったが、今回のUHD BDは素直に「オオッ」と思える出来映え。
 まず、BDでは気になって仕方がなかったゴミ・傷・ちらつきの類が大幅に低減され、フィルムグレインもいい意味で目立たなくなり、一気に見通しの良い、透明感のある画になった。
 情報量も大幅増。特に暗部の改善が著しく、BDでは埋もれていたディテールがそこかしこに表出している。ノイズもほとんど気にならず、透明感の向上とあわせ、パッと見のコントラストがおおいに高まった。
 解像感も大きく向上。それでいて輪郭や描線が荒れるようなこともなく、画全体のキレの良さとなめらかさが両立している。
 HDRは高輝度部分をギラつかせるような短絡的な使い方ではなく、輝度の余裕を活かして画面全体の情報量を充実させる方向となっている。暗部の描写の改善にもおおいに寄与しているものと思われる。色彩もさらに豊かに、明瞭に、クリアになった。
 各種機械の発光部は、HDRの効果もあいまって凄くリアルな印象を与えるものとなっている。迸るスパークやレーザーのインパクトも増している。
 総じて、期待を裏切らない見事な仕上がりと言える。同年代のアニメ映画として、88年の『逆襲のシャア』、91年の『F91』のUHD BDも見ているが、それらとは画質の絶対値がまるで違う。
 今回の『AKIRA』のリマスターは、例えばディズニーのアニメ作品のようにゴミ・傷の一片に到るまで徹底的に取り除くようなレベルのものではない。BDと比べれば大幅に減っていることは確かでも、あるにはあるし、よく見れば結構目にも入る。それでも、満足できる。じゅうぶん満足できる。
 これこそ、私がずっと待ち望んできた、私がずっと見たかった『AKIRA』だ。

○見どころ
 すべて


○音質
 BDの時点で『AKIRA』には15☆という狂気的な音質評価を与えているのに、今回のUHD BDの音はさらにブラッシュアップされているって、いったいどうなってしまうんだ……と思って見始めて、冒頭の太鼓の音がド~~~~ン。この時点で「なるほどそうきたか!」という感じ。
 端的に言って、「終始猛烈な圧力を維持し、ともすれば飽和寸前」なBDに対し、UHD BDは「より洗練された、より技巧的な、よりダイナミックな」音となっている。
 具体的には、シーンにおいて重要な音、あるいは迫力があってほしい音の存在感が高められ、音のメリハリがとても強まっている。例えば、金田が最初にバイクに乗り、前輪にスパークを迸らせながら走り出すシーンや、チキンレースの直後、おそらくアニメ史上最もかっこいいブレーキをかけるシーンでそのことがよくわかる。
 UHD BD化にあたって音楽の鳴り方自体が変わっていることはもちろん、音楽と効果音のバランス、効果音とダイアローグのバランスなどもBDから結構変えられている。効果音とダイアローグのバランスが見直されたことで、BDでは爆音に埋れていたりしてよく聴こえなかったセリフがいくつも明瞭に聞こえるようになり、新しい発見もあった。
 ダイナミクスを重視した結果、全編を通じた「単純な音のでかさ」という点では、AVアンプのボリュームを統一した状態だと、BDの方がでかく感じる。しかし、ひとつひとつの音のメリハリ、立ち方、音によって醸成されるシーンの印象深さという点では、間違いなくUHD BDに軍配が上がる。もしかしたら、UHD BD版の『AKIRA』はもっとボリュームを上げて聴け、ということなのかもしれない。
 全体としてUHD BDばBDからだいぶ音が変わっているのだが、正直なところ、「どちらが上か」は一概には言えない。UHD BDの音はより洗練され、技巧的で、ダイナミックだが、BDのいい意味で頭のネジが吹っ飛んだ音もまた、ひとつの究極であることは疑いようがないからだ。BDの音の方が好き、という人もいると思われる。とはいえ、今後のマルチチャンネル・サラウンドにおける指標という意味では、やはりUHD BDの音により大きな価値を見いだすべきだろう。Dolby AtmosだのDTS:Xだの天井にスピーカーを付けるだの、そんなことに現を抜かす前に、なぜ基本となる5.1chをしっかり構築しなければならないのか。その答えがここにある。
 『AKIRA』は、やはり、凄かった。
 私が与え得る、最高にして究極の評価を送る。

○聴きどころ
 すべて


○総評
 BDの登場以来、『AKIRA』の音は常に、私のホームシアターにおいてリファレンスの地位にあった。そしてUHD BDの登場により、その地位はさらに盤石なものとなった。
 昨今のストリーミングサービスの浸透により、映像ディスクの行く末が危ぶまれて久しい。そんななか、『AKIRA』のUHD BDは、まさに映像ディスクの、UHD BDの価値をまざまざと見せ付けるものだ。
 音と映像にこだわるあらゆる人に心の底からおすすめする、究極の1本。



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DP-UB9000

・映像
LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
YAMAHA CX-A5200(AVプリ)
SOULNOTE A-2(フロント)
YAMAHA MX-A5200(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)



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