【ネットワークオーディオの魔境を往く】 – いったい何が始まるんです?



 最近某社から発売された超高級オーディオ用NASが注目を集めている。無限の資金力でもあれば私も欲しいところだが現実は厳しい。
 その製品に限った話ではなく、“高音質”を謳うNASは今までも登場してきた。それこそQNAP TS-119に始まり、密かに登場して密かに消えていったRipNAS StatementやZIGSOW ZSS-1など、非常に高額な製品もあった。
 で、その手のNASは当然の如くレビュー等でべた褒めされるわけだが、私は疑り深いので「本当にサーバーで音が変わるのか?」と思わずにはいられない。
 サーバーで音は変わるか。魔境に相応しいテーマである。
 
 なお、一言でサーバーと言っても、ハードとソフトという二つの要素がある。(詳細はこの記事
 仮にサーバーで音が変わるとして、その理由がハードによるものなのかソフトによるものなのかを把握するため、それぞれについて検証を行う。
 まずは、ハード編。



○検証したサーバー

QNAP TS-119 + EL SOUNDアナログ電源(SSD 600GB)
普段使っているWindowsのデスクトップPC(HDD 2TB)

 今回はサーバーの“ハード”の比較なので、この二つに同一のサーバーソフトであるAsset UPnPを用いて検証を行った。
 なお、Asset UPnPのバージョンはQNAP:4.2、Windows:4.1となっている。両者でバージョンが違うのは少々気になるところだが、現時点でどちらも最新バージョンなので特に差異はないと判断した。



○再生環境

LUMIN A1
BENCHMARK DAC2 HGC(プリとして)
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire



○検証音源
アルバムfragile 20140226
 Yes / Fragileより「Roundabout」
 96kHz/24bitのハイレゾ版を使用。
 説明不要の一曲。
 特にハイレゾ版の音質は素晴らしく、下手な最新録音のソフトが裸足で逃げ出すほど。
 これまた数えきれないほど聴いてきた、私の不動のリファレンス曲。



○比較
1

 LUMIN Appを用いて、それぞれのサーバーからRoundaboutをプレイリストに登録し、連続再生。


 ……


 …


 変わる。


 決して大きな違いではないが、明らかにQNAP TS-119の方が良い。
 より力強く、明瞭で、それでいて雑味が少ない。


 この手の微妙な問題に関し、私は基本的に「変わらないなら変わらないに越したことはない」という姿勢を取っている。
 とはいえ、自分自身で検証した結果として変化を聴き取れたのなら、それを受け入れるだけの謙虚さは持ち合わせているつもりだ。


 以前、TS-119にアナログ電源を導入した時、明らかな音質の向上を体験したことがある。アナログ電源を導入した理由は耳にまで聴こえるアダプタのノイズをどうにかするためであり、音質は副次的なものに過ぎなかったが、こういうこともあるのかと驚いた記憶がある。
 しかし、それはあくまでTS-119という同一機種内でのことであって、他機種と比べてどうか、ということまでは気にしなかった。

 そして今回、TS-119とPCを同一環境で比較してみて、音質の変化を確認した。
 理由としては、電源、ストレージがHDDかSSDか、筐体の作り(オーディオ的な意味で)、内部のノイズなど、色々と考えられる。
 この辺りは深入りすれば容易に泥沼地獄に嵌るのでこれ以上は首を突っ込む気はないが、あくまで個人的な経験上、やはり電源の影響が大きいように思う。もっとも、ではなぜ電源を変えれば音が良くなるのかと聞かれたところで、技術者でもない私に理由を答えられるはずもなし。ただ、聴いて、そう感じたとしか言いようがない。


 同一の再生機材、同一のサーバーソフト、同一のネットワーク環境において、サーバーのハードを変えれば音は変わる。


 これが今回の検証結果である。

 “オーディオ用高音質NAS”という謳い文句も、あながち嘘ではなさそうだ。



続き・ソフト編



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