「はじめに」で既に書いたことではあるが、


 居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌にしがたい快適さ。


 これこそ、ネットワークオーディオがもたらす福音である。

 と、言われても何のことだかさっぱり、ということもあると思うので、上記の「快適さ」を生む「居ながらにしてすべてを見、すべてを操る」ということについて、もう少し詳しく見ていこう。

 なお、繰り返すが、私は決して「ディスクを用いるオーディオの形」そのものを否定しているわけではない。
 あくまで、従来のディスク――CDを使う方法と比べた時の、音楽再生におけるネットワークオーディオのメリットを紹介しているだけである。
 それが「興味はあるけど、実際どうなの?」と思っているユーザーに届けば幸いだ。



★無圧縮、またはロスレスの音源を使えば、CDからの音質劣化を心配する必要がない。

 これはもう、メリット以前の問題として、オーディオを名乗るからには絶対条件だ。
 絶対に、従来のCDを用いる方法から理論的に音質が劣化してはならない。
 その点は、とりあえずWAVやらFLACやらを使えば問題はない。
 そして、あとはCDプレーヤーの音が好きか、デジタル・ファイル再生の音が好きかという好みの問題である。



①音楽を聴く際、リスニング・ポイントから一歩も動く必要がない。
再生、停止、曲送り、シーク、任意の曲へのジャンプといったあらゆる操作が手のひらで完結する。


 読んで字の如し。
 ただ、これはCDを使っていても、CDをプレーヤーにセットしてしまえば同様にリモコンで再生・操作ができるので、別に動く必要はない。
 よって、これだけではネットワークオーディオのメリットとはいえない。
 ちなみに、デスクトップシステムで完結するか、もしくはヘッドホンを使っているのなら話は別だが、従来型の据え置きシステムに狭義のPCオーディオ≒USB DACを組み込んでなおこの点を満足するためには、色々と手間が必要になる。



②複数のアルバムにまたがって音楽を聴く際も、いちいちディスクを交換する必要がない。

 読んで字の如し。
 これはCDでは厳しい。ただ、単なるこじつけだが、CDチェンジャーを使えば、CDを使っていてもまだ立つ必要がないし、ディスクを交換する必要もない。
 よって、まだネットワークオーディオのメリットとはいえない。



③アルバム内の好きな曲を、好きな順番で聴ける。

 読んで字の如し。
 しかし、CDプレーヤーにだってプログラム再生という機能がある。
 よって、まだまだ真にネットワークオーディオのメリットとはいえない。



 この時点では、まだ音楽再生においてCDプレーヤーとの根本的な違いを示せていない。
 では、こうなるとどうだろうか。



④数百枚、数千枚、事実上無限のアルバムにまたがって音楽を聴く際も、いちいちディスクを交換する必要がない。

 こうなるともうCDチェンジャーを使ったところで無理だ。
 しかし、ネットワークオーディオならできる。



⑤数百枚、数千枚、事実上無限のアルバム内の好きな曲を、好きな順番で聴ける。

 これもCDという物理的なメディアでは無理な話だ。
 しかし、ネットワークオーディオなら可能になる。



 CDとは異なり、ストレージの容量さえ確保すれば、ネットワークオーディオでは再生時に扱える音源の量に物理的な制限は事実上存在しない。
 間違いなく、これは大きなメリットと言えるだろう。

 そしてメリットは他にもある。



⑥「同一アルバム」の「特定の曲」の「ハイレゾを含む複数のバージョン」で立て続けに聴ける。

 ハイレゾが入ってくる時点で、CDプレーヤーではどうしようもない。
 要はこういうこと。この自由度はネットワークオーディオならでは。
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 まだまだメリットはある。
 それも非常に重要なものが。



⑦音楽を聴きながら、自分のライブラリのすべての音源を見渡せる。
もちろん、リスニングポイントからは一歩も動く必要はない。


 CD、ディスクを使うオーディオの形との決定的な違いはコレかな、とも思う。
 「音楽を聴く」という行為と、「自分の音楽ライブラリを眺めて愛でる」という行為。物理メディアを使う以上、必然的にリスニング・ポイントとソフトラックの間で引き裂かれていた二つの行為が、ネットワークオーディオにおいてはひとつのインターフェースの上で完全に融合している。
 これは「音楽に触れる時間の最大化」であり、また「音楽に出会う可能性の最大化」でもある。

 また、音源にアルバムアートを埋め込むことで、視覚的な情報量もCDそのものを用いる時となんら遜色ないレベルを実現できる。
 このように。
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⑧目当ての曲に辿り着くために、複数の方法を用いることができる。

 これも物理メディアでは無理だ。
 たとえばCDをアルファベット順または50音順で一度並べてしまえば、もう一度物理的に並べ替えない限り、アルファベット順または50音順でアルバムを探す以外にない。
 しかし、ネットワークオーディオなら……というより、音源をデータファイルとして用いるなら、ジャンルごと、アーティストごと、アルバムごとなど、考え得る限りの選択肢から目当ての曲を見つけ出すことができる。



 さて、ここまで書いてきたが、中には

「これってネットワークオーディオのメリットというより、音源をデジタル・ファイルとして管理運用することのメリットなんじゃないの?」

 と思う人もいることだろう。

 実際、両者はかなり近しい。
 私が一連の記事のタイトルに【音源管理】と【ネットワークオーディオ】を併記しているのはそのためだ。
 つまるところ、「音源をデジタルファイルとして管理運用するメリット」とは、そのまま「ネットワークオーディオのメリット」と言えるし、さらにいえば「PCオーディオのメリット」とも等しい。
 それこそオーディオなんていう堅苦しいことを言わずとも、要はiTunes&iPodを使うメリットそのものだ。音質はさておき。

 ちなみに、私にとって「ハイレゾ音源が聴ける=高音質が実現できる」ということは単なるオマケに過ぎない。
 ディスクメディアにもSACDという頂が厳然と存在しているし、なにより高音質を実現する方法は決してハイレゾ音源だけではないからだ。 


 では、繰り返しになるが、音源の管理運用という共通項を越え、PCオーディオとも異なる、ネットワークオーディオの真のメリットとは何か。


 結論から先に言ってしまえば、それはの部分にある。
 「居ながら」という点、そして「快適さ」という点である。

 章立てを無視してしまうが、先に「ネットワークオーディオの本質」を読んでもらうのが話が早い。



 まとめよう。

 ネットワークオーディオの真のメリットとは何か。


 居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌にしがたい快適さ


 結局コレに尽きる。
 ネットワークオーディオの前段にある「音源をデジタル・ファイルとして管理運用すること」も含めれば、


 音楽に触れる時間の最大化
 音楽に出会う可能性の最大化



 これらもまた、巨大なメリットである。



 最後に。

 私は、このような人にこそ音源をデジタル・ファイルとして管理運用すること、そしてネットワークオーディオをすすめたい。


・音楽が大好きな人

・大量のCDを保有している人

・大量のCDの管理に困りつつある人

・CDが大量すぎて実質的に聴かなくなった――死蔵状態のCDが増えつつある人

・音楽を聴く際、いちいちPCに触りたくない人

・とにかく快適に音楽を聴きたい人




【音源管理の精髄】 目次